西田 |
ゲームの開発が頓挫していたときに、
突然、大きな組織変更があって、
新しい部署ができたわけなんです。
ただ、その時点では、新しい部で
なにをやるのかということは、
少なくともぼくらにはわかっていなかった。
結果的には、それで、
凍結されていたこのソフトの開発が
動き出すことになるんです。
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尾崎 |
じつは、組織変更のまえに、
社長から、開発部員全員にメールで
問いかけがあったんですよ。
いくつかの質問事項が書いてあって。
で、まあ、ぼくなんかは、ふつうに、
まじめに質問に回答したんですけど、
北村のほうが、まったくその質問を無視して、
「音楽ソフトの開発を再開したい!」
ということを延々と書いたらしいんです(笑)。
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北村 |
いや、あの、私なりに
質問に答えたつもりだったんですけど。
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一同 |
(笑)
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北村 |
あと、まあ、ちゃんと読んでもらえるとは
思わなかったというのもある。
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一同 |
(爆笑)
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北村 |
でね、そのあとにも
取り組みたいことの提案をする
チャンスがあったんですよ。
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西田 |
岩田が、新部署の全員に、
提案の機会をつくったんですよ。
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北村 |
そこで、私はまた
「つくりたい!」っていう話をして。
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西田 |
いちばん、しつこかったんですよね(笑)。
それはやっぱり、自分の描いたキャラクターに
思い入れが強かったからかな。
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北村 |
いや、それはもう途中でなくなったんですよ。
もう途中からは、もう、たとえば、
あれが世に出るためやったら、
ほかのキャラクターに変えるって言われても、
べつにいい、ぐらいの勢いになってたんです。
こういうことを言うとなんですけど、
最初は、たしかに自分の描いたキャラクターが
ゲームになることがすごくうれしくて、
ゲーム自体のおもしろさには、
半信半疑の部分があったんですよ。
合奏のたのしさとかも、
いまほどはっきり理解できてなくて。
でも、ある程度かたちになって、
ちゃんと遊べるようになったときに、
「いや、こんなおもしろい遊びがあるんや。
これ、広めれたらいいな」っていうのを
すごく強く感じたというのがあって。
ほんとに楽しかったんですよ。合奏。
で、しつこい性分なんで、ちょっと。
もう言っちゃえー、って(笑)。
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西田 |
彼女は、どちらかというと、
あまりゲームをしないんですよ。
だけど、このプログラムを組んでもらって、
これをやれとかいったら、
たぶん一日中いちばんしつこくやると思います。
ほんとに、なんか、このゲームを
愛してるっていう感じがするなって
思ってるんですけど(笑)。
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北村 |
とにかく、あのまま終わってしまうのが
すごく、もったいないって感じてしまって。
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尾崎 |
ぼくもサウンド担当として、
ずっと関わっていたわけなんですけど、
ま、北村ほどではないんですけども(笑)、
やはり、このセッションとか
楽器を演奏するようなたのしみって、
ほかのゲームにはないんですよね。
それが埋もれてしまうのは、
あまりにももったいないっていうことを、
やっぱり、提案したように記憶してます。
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松原 |
ぼくも提案しましたよ。とにかくね、
この遊びが世に出ないっていうのが、
すごくもったいないと思ったんですよ。
ぼくは、ゲームボーイアドバンスになったとき、
東京ゲームショウのまえくらいから
参加してるんですけど、参加するまえは、
携帯機で合奏するなんて、
たいして合奏っぽくはないだろうとか、
思ってたりもしたんですよね。
で、ぼくは吹奏楽部に入ってて、
実際の楽器を演奏してたりするんで、
まあ、たいしたことはないだろうって(笑)。
で、やらしてもらったら、やり応えが、
実際の楽器で合奏してる感じと、
もう遜色ないというか、ほぼいっしょだった。
で、こんなに手軽に
合奏の楽しさを伝えれるものが、
この世に存在するんだなと思って。
まあ、その、なんて言いますか、
実際の楽器を演奏する者としては、
正直、ちょっと悔しくも思えたくらいで(笑)。
ゲームとかそんなんを越えて、
合奏の遊びそのものがここにあるな、
っていう手応えがあって、
ちょっと感動してしまって。
それで、のめり込んだかな。
極端にいうと、自分が参加しなくてもいいから、
なんとか世に出してもらえないものだろうかと
思っていたくらいなんです。
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富澤 |
ぼくも、東京ゲームショウのまえぐらいに
参加したんですけど、
発売できなかったのがほんとに悔しくて。
これがこのまま世に出なかったら、やっぱり、
もう自分的になんか先に進めないっていうか、
そういう気持ちがありましたね。
合奏モードでハモったときの快感とか、
忘れられないものがありましたから。
対戦プレイではなく、協力プレイとしての、
ハーモニーにすごくひかれたんです。
で、ソフトの内容に対しては、
自分の思いついた曲を書き留められるような
簡単なエディットモードがあったらいいなと
ずっと思っていたので、
それを反映させるように、
がんばっていったんですけれども。
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北原 |
ぼくはですね、企画が凍結される少しまえに
新入社員として入ったんです。
で、ちょっと関わらしてもらったんですけど、
その時点ですごく完成度が高かったんです。
この完成度で、なぜ発売されないんだろう
っていう思いがありまして。それで、
「あの企画については
どう考えておられるんですか‥‥」
みたいなことを、ちょっと、突っついて(笑)。
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西田 |
おそらく、岩田としては、組織替えに際して、
この企画を新部署で動かそうという
計画がうっすらとあったんだと思います。
だから、あのソフトに関わっていたぼくらを、
同じ部署に集めたんだろうなあと。
‥‥ところがですね、ひとりだけ、
まったく違う部署から放り込まれた
人間がいたんですよ。
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