西田 |
新しい部署で、開発が再開されて、
それでようやく
『大合奏!バンドブラザーズ』のかたちに
なるわけなんですけど、
旧開発チームが集められるなかで、
まったく違う部署から放り込まれたのが
岡本だったんです。
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岡本 |
異動の発表見て、アゴ、落ちましたよ。
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一同 |
(笑)
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岡本 |
ひとりだけ、
よそからもらわれてきた子っていう感じで。
まあ、同じ、開発の部署にはいたんですけれど、
つくっていたものがまったく違ったんです。
だから、このソフトのことも、
まったく知らない!
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一同 |
(笑)
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岡本 |
まえに関わっていたプロジェクトも、
なくなってしまっていて、
ちょっと悶々としてたんです。
そしたら、岩田さんから、
「こういうグループ分けにします」っていう
メールが来たんです。
で、まあ、クリクリしながら
(マウスをスクロールする仕草)
「あ、ここかな? ここかな?」って
思いながら読んでたんですよ。
「あれ? 名前ないなあ。
あっ、これ、まえ同じ部署だった子や!
じゃあここかな‥‥あれ? ないな?」
で、クリクリクリクリーってやって、
いっちばん最後のところに、
「‥‥GBMプロジェクト 岡本」
はぁぁ〜〜〜?!
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一同 |
(笑)
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岡本 |
なんで? いくの? 私?
とかって思って。
なんか、訊いたら音楽ソフトやっていうけど、
そんなんぜんぜん知らないし、
「音楽好きです」とも言ったことないし。
え? なんで? とか思って。
そのままポイッて入って。
それでまあ、北村さんとは面識があったんで、
先につくられてたアドバンスのソフトを
触らせてもらったんです。
「ちょっとセッションやれへん?」
って言われて。
じゃあ、ちょっと‥‥ってやったら、
おもしろかったんですよ、それが。
で、あ、これ、おもしろい!
ってびっくりして。
その、なんか、社内のウワサでは、
あんまり評判がよくなくて、
あれはどうなんやっていう声も
聞いていたので。
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西田 |
へええ。そんなこと知らなかったけど、
まあ、どんどんしゃべって(笑)。
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岡本 |
まあ、ようするに、失敗したソフトだ、
みたいに言われてたのを聞いてたので、
入るまえは「大丈夫なんかな?」って思ってて。
で、入って遊んでみたら、
ぜんぜんウワサとちがくて、
ちゃんとできてるソフトやし、
セッションっておもしろいし、
あっという間に気に入って。
で、それから、ほかの部署の人に、
「どうなん、正直?」って
訊かれたりしたんですけど、
もう胸張って、
「おもしろいですよ!」って、
言いましたよ。言ってやりました(笑)!
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西田 |
こういうふうに始まったんですよ。
みんな、不安たっぷりで。
ただ、捨てるには惜しいっていう、
そういう気持ちが集まって。
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尾崎 |
そういうなかで、岡本さんが入ったというのは
すごく効果があったんですよ。
というのは、みんなこのソフトに
すごく慣れていたので、客観的に、
「え? なんでこうなの?」って
素朴な疑問を口にする人がいなかったんですよ。
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西田 |
みんなすごく頭でっかちに
なってましたから、
岩田は、そういう意味で、
岡本をこのチームに
入れたんじゃないでしょうか。
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北村 |
みんなが常識と思ってることを、
「これ、なんでなん?」って
訊いてくれる人がひとりいるだけで、
バランスがグッと変わるんですよね。
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北原 |
たとえば、演奏モードは、
プレイヤーのレベルに合わせて、
「プロ楽譜」
(オクターブの上げ下げや
#も自分で操作する。
使用するボタンは10個)
「アマ楽譜」
(オクターブの上げ下げや
#は自動で切り替わる。
使用するボタンは8個)
「ビギナー」
(十字ボタンとボタンの
ふたつだけで操作する)
と、三種類用意したんですけど、
それも彼女のひとことがきっかけで。
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岡本 |
「できませ〜ん!」って(笑)。
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西田 |
最初は「プロ」しかなかったんですよ。
ずっと演奏してたから、
難しいとは感じられなくなっていて(笑)。
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岡本 |
いや、できませんって、
いきなり「プロ楽譜」は。
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北村 |
すごく敷居が低くなりましたよね。
いま考えると、アドバンスでつくってたころは
かなりとっつきにくいものだったと思います。
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西田 |
「ビギナー楽譜」は、
はじめてプレーする人やったら、
ちょうどいいのかな? って感じですよね。
あれで、かなり救われたと思います。
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尾崎 |
鼻歌で入力するモードも、
岡本さんが推してたんだよね。
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岡本 |
五線譜の企画はあったんですけど、
「五線譜なんて、絶対ムリ!」って思ってた。
だから、スタッフのみんなにずっと、
「鼻歌、鼻歌、鼻歌、鼻歌‥‥」って
しつこく言ってて(笑)。
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西田 |
あんまり言うから、
「ほな、入れてみるか」って(笑)。
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松原 |
でも、五線譜モードが簡単だってわかったら、
いちばんハマってたのも岡本で。
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北村 |
そうそう(笑)。
私と岡本がふたりで、
「五線譜なんて難しい!」って
言ってたんですけど。
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松原 |
最終的に、本屋で楽譜を買ってきたりして、
いちばん五線譜に打ち込んでたのが、
このふたり(笑)。
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岡本 |
なんか、いっぱい、
記号を読めるようになりましたよ。
コーダとか、フェルマータとか。
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一同 |
(笑)
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