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今年のE3は、新しい携帯ゲーム機、
ニンテンドー・ディーエス
(仮称:以下、ディーエス)の発表もあって、
任天堂ブースは大評判だったようですけど、
終わってみていかがでしたか?
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宮本 |
今年のE3は、外からの評判としては、
ここ数年でいちばんよかったと
言われてるみたいですね。
まあ、ディーエスという新しいハードが
来場者に遊んでもらえるかたちで
出展できたということが
大きかったんでしょうね。
とくに去年なんかは、どちらかというと
モノよりもコンセプトの提示に
ウェイトを置いてましたから。
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そうですね、去年はコネクティビテイ
(プレイヤーどうし、マシンどうしをつなげて
遊びをより豊かにしようというコンセプト)
の提案がありました。
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宮本 |
そう。そのコンセプトは、
もちろんいまに活きてるんですけど、
やっぱり、さわれるモノがたくさんないと
伝わりづらい部分があって。
その点、今年はディーエスを発表して、
50台をその場ですぐに
さわってもらえましたからね。
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現場からのニュースをいろんなところで
目にしましたけれど、
やっぱり実際にさわった驚き、
熱気みたいなものが伝わってきました。
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宮本 |
ああ、それはよかったです。
とくにディーエスっていうマシンは
すごく説明するのが難しいですからね。
写真で見せても、もうひとつわからへんし。
2画面であるっていうことは
すぐわかるんですよ、画面で見てもらえばね。
でも、それで「遊び」がどうなるかって、
ぜんぜん見えへんし。
しかも、大きな特長としては、タッチパネルに
「さわってみる」っていうことなので。
それがどういう感じがするのかっていうのも、
説明するだけではぜんぜんわからへんし。
それでね、どうやって伝えようかと
いろいろ思案したんですけど、今年は
シアター(展示物が置いてある大きな部屋)を
ブースのなかにつくってみたんですよ。
‥‥なんか、えらい細かい話やね(笑)。
こんなディテールを言っててええんかな?
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どうぞどうぞ(笑)。
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宮本 |
これまで任天堂は、シアターをつくるってことは
あんまりやらなかったんですよ。やっぱりその、
わざわざ並んでもらうのは悪いかなあと思って。
でも、今回のディーエスはさすがにその、
さわってもらわないとわからないし、
なるだけたくさん準備したんですけど、
50台しかなかったからね。
できるだけたくさんの人に
効率よく触ってもらうために
シアターをつくったんですよね。
そしたら、口コミでどんどん列が伸びていって。
ふつうは、ああいうショーって、
最終日がいちばん空いていて
並ぶのが楽なんですけど、
今回は2日目3日目と、
だんだん列が伸びていって、
けっきょく初日の午前中が
いちばん空いていたくらいで。
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行列が異例の長さだったと聞きましたよ。
E3ってビジネスショウだから
あんまり行列ってできないのに、
東京ゲームショウなみの列ができたって。
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宮本 |
たくさん並んでくれましたね。
アメリカ人ってけっこうね、
並ぶの好きなんじゃないですかね。
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あ、そうですか?
日本人が行列に並びたがるっていうのは
よく聞きますけど‥‥。
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宮本 |
いや、あのね、ぼくは、
ちょっと認識を新たにしましたね。
日本人は行列するのは好きなんですけどね、
なんか、必死で並ぶんですよね(笑)。
ところがアメリカ人はね、ラフに並ぶんですよ。
ふつうに、並ばなしょうがないから並んでて、
待たされることにあまりイラつかないっていうか。
日本人はほら、並びかたも几帳面でしょう?
前の人がちょっと動いたら、こう、
背中に顔がくっつきそうなくらいにこう、
あいだを詰めてくでしょ?
子どもにつき添ってるお母さんも
「ハイハイッ、進んで!」って(笑)。
その点、アメリカの人たちはおおらかでね、
もう前の人が動いてるのに、いつまでも
カバン床に置いてゲームボーイで遊んでたりして、
みんなに押されて慌てて移動したりして。
なんか、気楽ですよね。
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たのしんで並んでる感じ。
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宮本 |
うん、なんかわりとたのしんでてね。
あんまりイラ立ったり怒ったりしないんですよ。
だから、まあ、あんまり
そういうふうに決めつけてもいかんのやけど、
アメリカ人というか、欧米の人たちって、
ああいうことに対して辛抱強い。
やっぱりこう、狩猟民族として、
草陰に隠れて獲物を待ってた人たちと、
太陽が昇ったら作業してっていう、
時期や順番を重んじる農耕民族との違いを
あらためて感じたというかね。
いや、ほんとに(笑)。
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なるほど(笑)
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宮本 |
あと、ショウ自体としては、
ゲームキューブのソフトのラインナップも
ぼくらが当初予想していた以上に
充実してましたから、
そちらも喜んでいただけたようですね。
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海外のメーカーがあいかわらずFPS
(ファースト・パーソン・シューティング。
3Dの空間を、一人称視点で進んでいく
シューティングゲームのこと)
をたくさん展示するなかで、任天堂は
かなり多彩なライナップだったようですけれど、
そのあたりは気を遣ったんでしょうか?
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宮本 |
いや、そこはもう、任天堂流というか(笑)。
独自にこう、つくりたいものを追求した結果です。
たしかにいま、とくにアメリカのマーケットは
すごくかたよってきてますよね。やっぱり、
どうしても売れているものに走っていくから。
開発者はともかく、営業の人たちがね。
だから、まずスポーツゲームがあって、
それからFPSがあって、レースゲームがあって、
ウォーシミュレーションがあって‥‥。
その4つだけで全体の4分の3くらいを
占めてるんじゃないかな、っていうくらい
かたよってきてるんですよ。
そんななかにあると、任天堂としては
ふつうにやってるだけなんですけど、
ものすごくいろんなゲームがあると
見えたんでしょうね。
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よそがFPSばっかりだから、
違いを出すためにこうしようというのではなく。
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宮本 |
ではないですね、うん。
だってFPSも、ちゃんとつくってますからね。
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そうですよね。
『メトロイド・プライム2』なんかは
本格的なFPSだし。
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宮本 |
そう。だから、「FPSも負けてられへん!」
っていうところもあるわけです(笑)。
ただ、任天堂の場合、ぜんぶのチームが
同じようなものをつくってるんじゃなくて、
日ごろから、いろんなものをつくってるので、
それがひじょうによかったんでしょうね。
とくにうちのスタッフは、
売れてるものと同じものをつくろうって
いう人が少ない体質ですから。
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なるほど。うかがっていると、
キューブのソフトにしろディーエスにしろ、
今年のE3ではとにかく大勢の人が
実際にさわって遊ぶことができたということが
大きかったようですね。
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宮本 |
うん。ぼくも楽でした(笑)。
どっちかっていうと、ベラベラしゃべるよりは、
こう、「遊んでくれ!」っていうほうが
ショウとしてはいいと思うんですよね。
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(続きます!)