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おおらかなことば ~宮本茂さんにきく。 2004年初夏~

 


── ちょっとゲームファンよりの視点というか
技術的なところで質問しますけど、
発表によると、ディーエスは
ワイヤレスLANの規格(IEEE802.11)にも
対応しているということで、
たとえばネットに接続できるということも。
宮本 そうですね。まあ、任天堂としては
あくまでもディーエスどうしの通信を
主体で考えているんですけど、
OSやアプリケーションのほうで
対応したものが出てくれば、
自宅のワイヤレスLANにもつながりますから
インターネット端末としても
使える可能性はありますね。
── どこかのメーカーがディーエスを使って
インターネット通信を
やりたいということであれば、
マシンのスペックとしては
十分に受け皿になってると。
宮本 技術的には可能です。
でもまあ、任天堂はこれまで言ってきたように、
あれもつながなあかんとか、
これを持ってないとダメだとか、
そういうふうにはできるだけしたくないんです。
できるだけ、このマシンを買ったら、これだけで
新しい遊びをたのしめるようにしていきたい。
そういう意味では、もっとたくさんの機能を
詰め込むアイデアもあったんですけど、
やっぱり「遊びとしての適正な値段」で売りたい
という気持ちがありますからね。
発表したような仕様に落ち着きました。

── 宮本さんは、それこそ何年もまえから、
「このままだと、けっきょく
 スペックの倍々ゲームになって、
 遊び以外の部分で競争することになる」
ということをおっしゃっておられましたよね。
だからこそ、遊びそのものを新しくしたいと。
今回、このディーエスは
それを裏付けているというか、
遊びのための進化があるような気がします。
宮本 そうですね。だから、
技術的に最先端であるかどうかにこだわらず、
いろんな追求をしてきましたから。
ディーエスも、使ってるチップとかは
たしかに最先端なんですけども、
タッチパネルとかは以前からあった技術で、
最近こなれてきたけども、
ゲーム機にはあまり使われてなかったんで。
── そうですね、前からありましたもんね。
宮本 ぼくらもタッチパネルの研究は
ずっとやってきたんですけど、
なかなかうまくいかなくてね。
やっぱり指の下になって絵が見えへんとかね。
いろいろストレスを感じることも多くて。
── あああ、そうか、なるほど。
宮本 けっきょく、タッチパネルは、
2画面にするとすごく相性がいいんですよ。
ところが、2画面使ったらおもしろいけど、
2画面は見られないんじゃないかとかね、
もう、ずっと過去からね、
いろいろ実験してきましたから。
── 「じゃあタッチパネルで!」っていう
アイデア一発で
成り立つようなものではないんですね。
宮本 ええ。だから、これで終わることなく、
任天堂はいろんなことを
今後も試していくと思います。
(続きます!)

 

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2004-07-12-MON