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おおらかなことば
~宮本茂さんにきく。 2004年初夏~
──
開発者がすごくたのしそうだっていう
話が先ほど出ましたけれど、
ディーエスのソフトは、
いろんなものが出てきそうですね。
宮本
そうですね、いろんな可能性があります。
たとえばRPGにしても、
十字ボタンで遊ぶ必要ってないわけですよね。
いちいちカーソルを動かして
敵を選んだりするよりも、もう、ダイレクトに
画面をさわっていけばいいわけですから。
そのあたりはサードパーティーの方にも話して、
すごく興味を持ってもらってるんですけど。
──
これまでって、
たとえば新しいハードが出たとすると、
過去の人気タイトルの続編とか
アッパーバージョンが
グレードアップして出るっていう
パターンだったんですけど、ディーエスだと、
ソフトがどういうふうに進化するのか
ちょっと想像がつかないところがありますね。
宮本
うん。『マリオ64』なんかは、
わりとまっとうに進化しながら、
4人でワイヤレスで通信して遊べるというのを
中心に作ってるんですけども。
『メトロイド』とかは大きく変わってて、
画面を触ったところに弾が飛ぶんですよね。
──
あ、はあはあ。銃の照準を合わせるように、
画面をタッチしていく。
宮本
そう。十字ボタンで移動しながら、
自分でグーッと向きを変えて、
ガンガンガンと撃ちながら。
これだけでけっこう新鮮なんですよ。
やっぱり、移動しながら照準を合わせるのは
ちょっと難しいですからね。
いままでFPSが苦手だって言ってた人が、
「いや、これならできます」って(笑)。
要するに、敵がいるとこを叩けばいいわけだから。
わりとみんなすんなり遊んでいける。
──
いままでって、どうしても、
十字ボタンとボタンのなかに
ゲームを落とし込んでいたというか、
「それでできるように」って、みんなが自然に
考えてたところがあると思うんですけど、
タッチパネルがあったり、
二画面になったりすると、
これまでの手法や仕様がとっぱらわれて
枠がなくなりますもんね。
宮本
うん。いまはもう、究極には、
ディーエスを机に置いといて、こっちから
「(パンパンと手を叩いて)おいおい」
って声をかけると
遊べるのがいいなと思ってましてね(笑)。
それぐらい幅広くあってもいいん違うかと。
──
そうかー。ワクワクしますね。
宮本
あとは、ソフトを起動させたまま液晶を切って、
電池が切れないようにしておきながら、
ワイヤレスの通信状態をオンにしておく
ということもできるんですよ。
──
スタンバイモードというやつですか?
宮本
そうそう。そうしておくと、
同じようにスタンバイモードにしている
誰かがそばに来ると、ピピッて反応して、
ソフトが自動的に立ちあがるんです。
──
それ、すごいですよねー。
チャットソフト(『Picto Chat(仮称)』)とか
盛り上がりそうですね。
宮本
どんどん乱入できますからね。
スタンバイモードにした人がそばにくるだけで
ゲストとしてどんどん入れますから。
──
それ、たのしそうだなー。
小学校で禁止になりそう(笑)。
宮本
そうですね(笑)。
できるだけこう、目立たない感じで
遊んでもらえればええんやけど。
──
でも、小学生が持ってたら、
見せびらかすに決まってますよ(笑)。
宮本
(笑)
──
やっぱり、つくるほうも遊ぶほうも、
なんかいろんなところでリセットされて
遊びが転換するような気がしますね。
宮本
あの、セガの中(裕司)さんがね、
すごいいいことを言うてくれてて。
ディーエスについてしゃべるときに、
「新しい動詞がいっぱい出てくるのがうれしい」
っておっしゃってくれたんですよ。
「さわる」とか、「叩く」とか、「こする」とか。
──
あああ、なるほど。
宮本
そういう、違ったことに
つねに興味を持つ任天堂の姿勢が、
自分たちと似てるって
言ってくださったんですけどね。
やっぱり「操作する」じゃないことばでね
表現できるようなことが
新しくておもしろいんですよ。
(続きます!)
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2004-07-08-THU
第1回 さわってもらおう
第2回 開発者がたのしそうだ
第3回 一回リセットしてみたいな
第4回 いろんな枠がなくなっていく
第5回 最先端であるかどうかにこだわらず
第6回 『ゼルダ』と『ピクミン2』
第7回 名物!宮本茂のちゃぶ台返し!
第8回 これからのこと