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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-11-08

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・どういう旅でも、だいたい出発の直前までは億劫です。
 たのしみにしているところも、もちろんあるのですが、
 これはぼくの性格です、必ずめんどくさいと思うのです。
 日帰りならそれほどでもないのです。
 その日のうちに帰って来る旅については、
 あんがいぼくは行動的なおやじです。

 しかし、一泊でもするとなるとぐずぐずします。
 その理由のひとつが、旅先でも夜のうちに
 この「今日のダーリン」を書くことがわかっているので、
 そのための道具立てを忘れてはいけないということです。
 あとは、夜に起きていると、いわゆる小腹が空くのです。
 そのときに、飲みものやちょっと食べるものがないと、
 ものすごくさみしい気持ちになっちゃうのです。
 だいたいは、宿泊先の近くのコンビニなどで、
 たぶん食べないであろうものを買い込むことになります。
 これは夜中のさみしい気持ちを防ぐためです。
 着替えも、先の天気や温度によって考えなきゃならない。
 まさかの雨や暑さ寒さに備えておこうとがんばります。
 しかし、荷物はあんまり大きく重くしたくない。
 薬の飲み忘れをしたくないので、小分けする作業もある。
 旅先でどこへ行って、どんな人に会ってなにをするのか、
 予習をしておく必要だってあります。
 しかし、日帰りの旅ということになると、
 上記のめんどうなことのほとんどが省略できます。
 家に帰ってから、いつものようにすればいいのですから。
 でも、日帰りは用事をひとつ済ませたらおしまいですから、
 めんどくさいこともないかわりに旅のたのしさも極小です。

 いつも喩えに出しますが、旅もお風呂に似ています。
 入るまではぐずぐずするし、やめておこうかとさえ思う。
 なのに、入ってしまったら、ああいいお湯だなぁ、と。
 実際、ぼくのする旅のほとんどの回は、
 めんどくさいとか言ってたじぶんを忘れて、
 「ああ来てよかったなぁ、行ってよかったなぁ」
 ということになるのです。
 ちょうどいま、そう思っているところです。
 おやつも飲みものも心配のない自宅で、しみじみと。
 たった一泊、たった二日の能登の旅でしたが、
 じぶんにとっても、とても大切な旅になりました。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
まだ思いは整理できてません。あえてそうしている感じです。 


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