ほぼ日 |
もうじき発売ですね、お疲れさまでした。
まずお聞きしたいのが絵について!
今回、絵が変わったでしょう?
あのことっていうのは、
どういう風に気持ちは共有してったんですか?
中から、反対意見は‥‥。 |
一同 |
なかったですね。 |
ほぼ日 |
ぼくらも、あれ、「正解」だと思ったんです。
あの正解って、どんな風に出てきたんですか?
突然生まれたものなんですか? |
青沼 |
突然でもないんですよ。 |
春花 |
なんかね、
僕らの中ではわりと、
「当然」のところがあったんですよね。 |
青沼 |
なんか、自然な成行きで。 |
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ほぼ日 |
64の、カッコイイ方に行きかけてた
リンクがいましたよね?
「そうじゃないかもな」っていう気持ちが、
最初っからあったんですか? |
青沼 |
ですよね、きっと。 |
春花 |
絵を描いてる僕ら
2人に関して言えば、何か‥‥。 |
滝澤 |
いきなり、暗黙の了解で、ありましたね。 |
ほぼ日 |
あれって、宮本さんが決めるんですか? |
青沼 |
いや、今回はね、
逆にこっちから提案したかたちです。
だから、最後まで宮本も、
リアルなゼルダっていう線を、
捨てきれなかった部分もあったみたいですよ。 |
ほぼ日 |
そうですか! |
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青沼 |
やっぱり、需要というか、
もう今やそうじゃないと思いますけど、
そのときはやっぱり、
リアルなものを求める人たちの
声の方が大きかったです。 |
ほぼ日 |
そうでしょうね。 |
青沼 |
で、まあ、それに対して
応えなきゃいけないって部分も
もちろんあったとは思うんですけど。
でも、僕らが作るゼルダはそうではなかった。
だから、もしかしたらこれから先にも、
ああいうリアルなゼルダみたいなものも、
あるかもしれないですよね。 |
ほぼ日 |
それがそのときの
正解になる可能性は、おおいにありますよね。 |
青沼 |
です。 |
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高野 |
ゲーム的に、ネタ的に、
リアルな方が合っていったら、
そういうリアルなゼルダになってたと思う。
ただ、青沼とか春花が考えてた、
「遊ばせるゼルダ」っていうのは、
あの絵の方が、絶対にアイデアとして
面白いものを持ってるし、
僕らからしてみれば、
リアルだと作りづらいけど、
こっちだったらもっとネタが、どんどん、
ゲーム的に色んなことをできるようになる、
とかっていうものがあったから、
あの絵になってても、別に違和感もなく、
これの方が面白いものができるだろうと。 |
青沼 |
だからね、ひょっとしたら、
「時のオカリナ」から、
「ムジュラ」に表現を変えたときに、
今回の絵はもう、必然的に、
できていたのかもしれないですよね。
「ムジュラ」は「時のオカリナ」から、
またイメージの違うものにしてますから。 |
滝澤 |
「ムジュラ」のときに、春花が、
いろんなキャラクターとか描いてる、
ちょっとした落書きの、
その端っこの方とかに、
なんか今のリンクっぽいものが‥‥ |
青沼 |
ま、ちょっと見え隠れ
してたってことですね、きっと。 |
春花 |
どっかでそういうふうな部分が、
64のゲームを作ってるときに、
僕の中にあって、
滝澤とかと雑談してるときに、
「こんどのリンクはこうなんかなー?」
みたいな話になったりとかは、ありましたね。 |
滝澤 |
わりと64頃から、けっこうよく言いましたよね。 |
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ほぼ日 |
僕はいま、絵のことって
事件だったんじゃないかな?
って思って訊いたんですけど、
そうじゃないんですよね、そのこと自体は。 |
青沼 |
それは、事件じゃないですよね。うん。 |
高野 |
スタッフだけは、
別に何とも思ってなかった‥‥。 |
滝澤 |
もしかしたら宮本的に、
事件だったかもわかんない。 |
一同 |
(笑) |
高野 |
まあ、世間的には事件になって、
えらいことに。 |
滝澤 |
だから、最初にラフ・スケッチを春花がまとめて、
宮本のところに見せに行ったことがあって。
そんときにはやっぱり、
事件だったでしょうね(笑)。 |
春花 |
ちょっとね、あの、若干、
事件というか、事故やったんですよ(笑)。 |
一同 |
(爆笑) |
春花 |
「あ、作っちゃったー」みたいな(笑)。 |
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青沼 |
いや、でも、春花は確信犯なんですよ。 |
春花 |
いやいや(笑)。や、ま、でも何か、
それぐらい僕らにとっては、
自然だったんですね。
さっき青沼が言いましたけど、
宮本の方も、それ見せたときに、わりとね、
ちょっと迷ってる部分っていうのが
やっぱりあって、苦笑いだったんですよ。
需要として、リアルな方が
ウケがいいっていうところが、
プロデューサーとして、任天堂という会社として、
やっぱりあったとは思うんです。 |
ほぼ日 |
葛藤はあったんですね。 |
春花 |
そのへんは、ありつつも苦笑い、みたいな。
うん、どっかやっぱり宮本の方も、
64のときのやつとかに
違和感があるっていうのは、
よく言ってる話であるし。
そういう部分で言えば、
ま、宮本もほんとうに迷ってたというのは、
あったと思うんですよね。 |
青沼 |
逆にそれがなければ、
よく言うちゃぶ台ひっくり返しですけども、
バーン! って、リアルで行けって
話になったと思うんですけどね。
ある程度できちゃってる
状態で持ってっても、あの人は
ひっくり返すときはひっくり返す人ですから。
それが必要ないっていうふうに思ったって部分も、
きっとあったと思うんですよ。
で、もうちょっとこう、
転がしてみたらいいものになるかな?
みたいな(笑)、
そういう計算もあったかもしれないし。 |
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高野 |
いや、僕ね、いちばん聞きたいのは、
宮本とかって、
「ゼルダの世界は、別にないよー」
って言いながらも、
けっこうこだわってるところが、すごい‥‥。 |
一同 |
(笑) |
ほぼ日 |
どういうところに? |
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高野 |
僕らにすごく任せて、やっていいよ、
好きなようにって感じで。
春花たちが、この路線で行こうって決めたら、
バーッてラフ・スケッチを描いて、
「こんな感じです」
とかって、見せに行くと、
「違う」って、たまに言われるんですよ。
「こうじゃないよ」とかって。
最初はこれで行けるのかな?
って思ったら、だけどやっぱり「違う」って。
僕らには直接は言わないですけど、
思い描いてる宮本の、
自分の世界っていうのを、
ほんとはどっかに持ってると思うんですよ。 |
ほぼ日 |
例えば、どういうのですか? |
春花 |
ゼルダ姫はそうでしたね。
やっぱり今回ちょっと絵が変わったので、
ゼルダ姫も変えてやろう、って思ったんです。
普通のお姫さまじゃないような格好にした
ラフを描いたんですが、そこはやっぱり、
ちゃんと普通のお姫さまにしてね、って。 |
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青沼 |
宮本が、基本的にあるのは、
必然性のあるものは変えてもいいけれども、
必然性のないものは変えなくてもいいじゃない、
っていうことなんです。
お姫さまであるそのイメージっていうのは、
別に変える必要はないでしょう?
そこに変える意味があるんであれば
OKだけど、っていう。
なんでもそういう感覚ですよね。
だから、例えば、操作性とかに関しても、
大きく変える必然性のあることを、
このほうが絶対、分かりやすいっていう、
そういう変え方であればいいんですけど、
逆に変えなくたって
いまのままで操作性はいいよね、
みたいなところを無理に変える必要はないだろう、
っていう感覚ですね。 |
春花 |
僕らもその、新しいところで
欲張るんですけど。
で、区切りのいいところで
宮本に見せたときに、
「これは64のときにできてるものやから、
わざわざ外さんでいいやん」って。
僕ら新しいこととか、
できるだけ盛り込みたいから、
欲張るんですけども。 |
青沼 |
そう、逆に、それが入っちゃうと、
「前と同じじゃない」って
言われそうな気がして、
外したいと思ったりするけども、
それは別にいいじゃない、っていうふうになる。 |
春花 |
「64のときにできてるのに、何でなくなんの?」
とか。難しいなー、って。 |
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高野 |
だから、スタッフ的にはもう、
とにかく新しいもんにしなきゃいけないから、
全てを新しく変えようとするわけですよ(笑)。
それをいきなりガーッと変えてしまうと、
「なんでー?」みたいな。
ま、だから、そこでストッパーの役目が
宮本なんです。 |
ほぼ日 |
線引きが、ここが確立されてるもので、
ここから先は新しいのを取り入れても
いいところだ、っていうのの
見極めみたいなものが、
宮本さんが持ってるものになっちゃうんですか?
他の人でも、これは宮本さんだったら、
このままでいいだろうって言うだろう、
っていう判断はつくんですか? |
青沼 |
もちろん判断のつく部分もあって。
なおかつ、そこらへんがどこまで
エスカレートしていいのか、
みたいなところっていうのは、
あるところを越えちゃうと、
延々こう、スゴイとこまで行っちゃうんだけど。
だから、そこのところの微妙な線っていうのは
やっぱり、宮本しか
分かんないところもあったりはするよね。 |
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高野 |
スタッフは冷静になれなくなってるから、
それは正しいんだって思って
ガーッてなってくと、
遠くからこう、神のように見てて。
「違う、違うよー」とかって言われて、
はじめてハタと冷静になって、
あ、そっか、っていうのは、多いですよね。
逆に言ったら、宮本はこう言うだろう、って
思ってやってることと違うところを
突いてきたりすることはすごく多いですよね。 |
青沼 |
そう。
もうたいがい最近読めてきてるかな?
と思いつつ、あれっ? そう来たか、
っていう部分が。 |
高野 |
ストーリー関係ないよ、って、
ゲームが面白かったらいいんだよー、
とか言うわりには、
開発者レベルの考え方でやってしまってると、
「ここ、ちょっとおかしいんじゃないの?」
って、もうグサリとやりますよね。
あの、望遠鏡の話とかね。 |