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いよいよ『ゼルダ』がやってきた!

 
さあいよいよ本日発売!!
もう入手している方も
大勢いらっしゃると思いますが、
「ゼルダの伝説 風のタクト」!!!
(このページ読むひまないかなあ?<買った方。
 でもときどき手をやすめて、読んでね〜!)
制作チームの代表者4人に話を聞く
座談会の、第3回目をお届けしますよ!
今回は、クリエイティブの現場において
「考える」ということの意味を語ってくださっています。
これ、ゲームのなりたちを知りたい人にも面白いけれど
あらゆる「制作の現場」のために
すごく役に立つんじゃないかなあ・・・
と、話を聞きながら、思いました。
それでは、どうぞ〜!

任天堂 情報開発本部 制作部制作課 係長
ディレクター

前作から引き続き、全体を統括するディレクターとして活躍。
携帯の待受け画面に設定した、生まれたばかりの息子
(でもなかなか会えない)の写真を支えに、がんばりました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
スクリプト&イベントプランニング
フリスクを口に、娘の写真を胸に、
リリー・フランキーのエッセイを支えに、
書いて書いて書きまくりました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
デザインマネージャー

プレイヤーキャラクターデザイン。
アイテムや街の人々などの監修も。音楽とふかふかのタオルと
妻の愛情を支えに、ここまでたどり着きました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
デザインマネージャー

キャラクターデザイン、なかでも敵キャラを全般的に監修。
海洋堂の「激戦/兜コレクション」を見つめ、
髷物の音楽を聴きながら、描き続けました。


ほぼ日 途中で、大転換、
みたいなことって、ありましたか?
今までやってたことが覆されたとか、
すごい、止まっちゃったりとか、
ぜんぶ無駄になったとか。
青沼 今回はあんまり、ないですね。
わりと宮本も、最初のころの、
ゲームの骨格となる話をしたときに、
これだったら間違いないだろうと判断して
端から見てるような状況があって。
で、最後、上がってきたものを
細かくチェックしながら、
こうじゃないだろう、みたいなことを
入れてったかたちなので。
軌道修正を大きくかける、
みたいなことはなかったですね。
ただ今回、売りとなる部分、
たとえばタクトであるとか、
風をあやつるみたいなイメージ、
それから、敵と戦うっていうところの、
チャンバラみたいなもの、
手応えみたいなものとか、
これらはゼルダには欠かせないものですから。
そういうあたりはやっぱり、
最後のテイスティングまでを
チェックしてたところはありますけども。
高野 開発も後期のほうになってくると、
どんな下手な人でも、カッコ良く見えるようにって。
僕すごくゲーム下手くそでなんですけど、
そういった人間が、
今回のゼルダ触ってたときに、
自分が上手くなったような感じを、
味わってもらいたかったんですね。
春花 黒澤明監督の『椿三十郎』みたいな感じ。
パッて切った瞬間に、後ろでこう、
敵が、バーンって爆発する、
とかっていうのを、
わざとやってみたりとかって。
高野 簡単にできたりするのが
すごく嬉しくって。
滝澤 あれは、最初からね、
敵とのバトルっていうのは、
下手な人でも、
「お!? 俺、上手いぞ」
っていうのができるのを
目指してやってたんです。
それがさらに、
途中で宮本のほうから手が入ってきて。
こういうふうにしたらいいんじゃないか、
っていう話が入ってからはやっぱり、
変わりましたね、うん。
ほぼ日 こうしたらいいんじゃないかって
いうのは、具体的にはどういう?
春花 あ、たとえば、あれですよね、
戦うときに、4連、コンボが入るんです。
1、2、3、4で
色んな切り方をするみたいなのも、
すごく強化された部分なんですよ。
滝澤 最初は、もうちょっと味気なかったり
ややこしかったり。
考えすぎてしまってる部分が
あったんですけど、なんか違うな、って。
最終的に、青沼とかと喋ってて、
「普通に切ってるだけで
 4連続になったらいいやん」
みたいなところに行ってたんですよね。
青沼 考え過ぎがね、あるんですよ、やっぱり。
新しいことやろうと思うとね、
どんどん考えすぎるんですよ。
こうもしなきゃダメ、こうもしなきゃダメ、
ってどんどん上乗せしてくんですけど、
もとをただすと、
いや、そこまで考えんでもいいやん、っていう。
ほぼ日 青沼さんは、どっちなんですか?
考え過ぎるなって言うほうなんですか?
考え過ぎちゃうほうなんですか?
青沼 いや、考え過ぎるのが必要だと思ってる、
ところはあるんですよ。
ほぼ日 いっかい考え過ぎさせて‥‥。
青沼 そうそうそうそう。
だから、そこまでいって、
もう限界まできて、
「みんな疲れたよね、戻ろうよ」
っていう、そういう(笑)。
一同 (一同爆笑)
青沼 いや、でもね、そこまでやらないとね、
見えてこないものってあるんですよ。
春花 そんときに戻る説得力っていうの、
ありますよね。そこまでやって、
やったけどダメだった、
じゃあ戻ってみよう、
あ、戻ったら普通にいったやないの、って。
滝澤 特殊攻撃ってありますよね、今回。
Aボタンを、あるタイミングで押すと、
敵をバーンってできるっていう。
あれを、ものすごい考え過ぎてて、
ちょっと複雑になりかけてたんですよ。
そこをけっこう宮本のほうから軌道修正されて、
「そんなのもっとたくさん
 出るようにしたらいいんじゃないの?」
っていう話があって。
やっぱり、考えすぎだったんです。
そういうのもやっぱり、
最終的には変えましたよ(笑)。
青沼 基本的には、
「プレイする人が、嬉しいことは何なの?」
っていうところが、やっぱり宮本の中にあって。
あれ、嬉しかったよね、とか、
これ嬉しいよね、とかっていう、
やってて嬉しいことっていうのが
あるはずですよね。
でも、複雑にいろいろ作ると、
その嬉しさ味わう前に、
そこに行き着かなくて終わってしまうわけですよ。
誰もがそこまで行き着いて
嬉しいと思えるようなものに
仕上げるっていうのが、
やっぱり宮本の中にある、
基本の考え方なんです。
だから、そこまで至るまでには
やっぱりね、試行錯誤は絶対なきゃいけないわけで。
ほぼ日 そっか。それで「やらせてみる」んだ。
青沼 そう。ま、やらせてみるなんて、
そんな、偉そうなことを
言うわけじゃないですけど。
試行錯誤の中で、端々に出てくる、
いい要素っていうのが、
最終的にも残りますから。ね。
やればやるほど。
高野 それが、なんか、すごく、
今回の絵ヅラとすごく合ってて。
8頭身で必ずカッコつけるような
カッコいいキャラクターが、
カッコ良く動いても、
なんかそれは当たり前でしょう。
でも、自分と頭身が似てる、
あんなちっぽけな、
普通の男の子みたいなキャラクターが、
すごい技を出して、
いかにも自分がやったみたいな感じに見える。
普通のぼけーっとしたキャラ、
普段ぼけーっとしてるヤツが
敵と戦ったときに、すごい技を出して、
バーンと倒したときに、
「なんか俺ってすごいんじゃないの??」
みたいなふうに見えるから、
そういう意味でもガチッと
絵と内容がマッチしてるんじゃないかな、と。
青沼 ゼルダ観ってね、謎解きもそうなんですけど、
ちょっとこう、僕、頭イイかも、ってね(笑)、
思えるような、何かっていうか。
ちょっとだけ悩んでもらって、
それをポッてクリアしたときに、
あ、俺、けっこう頭いいかな? って。
人に言いたくなるっていうか。
滝澤 それが、アクションとかの
バトルの面でも感じられる、
っていうことですよね。
なるほど、今、納得しました(笑)。
なるほど、そうくくればいいのか、ってね。
いや、やろうとしてたことですけど、
こうして話していると、
くっきりわかってくるものですね(笑)。
ほぼ日 前のピクミンのとき、宮本さんが、
ペレットに数字をつけるようにと
指示した話がありました。
ピクミンが拾ってくるものに
画面上で数字がすでについているわけですね。
あれ、最初はみんな嫌がったんだよ、
って話しをされていて。
ああいうようなことって、なかったですか?
宮本さんが言ったけど、
3回言われて、やったよ、
みたいなとこで、
未だに正解であるかどうかわかんないけど、
そうなったみたいなことってありますか?
青沼 あのね、いっこあるのは、「タクト」ですね。
あれ実は、普通に操作するときは、
左右にアナログ・キーを動かして、
リズムを変えるっていう操作なんですけど、
上下に入れると、音の大きさを変えられるんですよ、
大きくしたり小さくしたりっていうのが。
これね、ゲームには関係のない操作なんですよ。
ほぼ日 ほー。
青沼 ネタにぜんぜん関係ない操作で。
でも宮本はどうしても入れろっていう話になって。
で、ポソッとね、
「それもまたなんかネタに
 使ってくれたらいいなぁー」
みたいなふうに言ってて。でももうすでに
そんなネタを入れられないような状況で(笑)。
けっきょく僕も、それをネタにできなくて。
最後までその操作、残ってるんですけども。
ほぼ日 残ってるけど、意味がつけらんなかったんですね。
青沼 ただ僕が、そのネタを
入れなかったことが失敗だったんですけどね。
ほぼ日 そのことは、かならず、
darlingと宮本さんが次週対談しますから
おたずねしておきますよ。
(編集部註:ききました。
 そのことはdarlingと宮本さん対談のなかで
 ご報告しますよ!)



高野 宮本は、やっぱり基本的に、
音楽へのこだわりがスゴイですね。
ほぼ日 音楽、すごいですよね。
高野 もう、オカリナのときもそうですもんね。
青沼 そうそうそう。
だから、今回もやっぱり、
タクトっていうのが、オカリナに代わるもので。
新しい音楽的なものの、
入力で遊ばせるものっていうのが、
何かないかな? っていうところで、
ああいうのが出てきてるんですけども。
僕も、実はあの、
吹奏楽とかやってたりとかするんで。
ほぼ日 そうなんですか。今もやってらっしゃる?
青沼 今もやってます。
ほぼ日 やっぱりリーダーとか?
青沼 あの、いちおうバンマスなんですけど(笑)。
任天堂に吹奏楽部っていうのがあるんですよ。
ほぼ日 あ、そうですか!
青沼 そこの部長をやってます。はい。
僕はあの、音階のない
パーカッションってやつをやってるんですけど。
で、やっぱりね、憧れるのは
コンダクターなんですよね。
指揮者ってのは、すごく難しいんですよ、
やっぱり。その指揮が合うかどうかで、
音がぜんぶ変わってきますから。
ほぼ日 やっていない人だと、
わからない世界なんでしょうね。
青沼 ですね。で、だから、それにね、
チャレンジしてみようかな?
っていうふうに思って。
皆で おーっ!?
青沼 いやいや違う、俺がチャレンジするんじゃなくて、
今回のゲームの中で。
コンダクターというものを。
でね、最初のころ作った
タクトの操作みたいなものに対して、
いつの間にやら、春花のほうが、
きれーな指揮のね、アクションを
入れてくれたんですよ。
それがね、すっごくよくできていて。
あそこ、何にも打ち合わせなかったよね?
春花 あれはもう、やりたいって
言っただけですよ。
青沼 でしょ?
だけど、その指揮のね、
棒を振るアクションがね、
すごくキレイなんですよ。
ほぼ日 へー!
春花 入力した後の動き?
青沼 そうそうそう。きれーなアクションで。
で、あの、曲自身は、単に、
入力のパターンを作ってるだけなんで、
どんな曲になるかとか、
あんまり意識してなかったりするんですけど、
その後にきれーな、
リンクのアクションでタクトを振る
モーションが付けられたんですよ。
そのときに、どうしてこんなキレイな
アクションができたんだろう?って。
今でも不思議。
春花 そう言われます。
あれは風のタクトって言うくらいやから、
タクト振ったときに、やっぱり
カクッカクッていうふうになってるのは‥‥。
青沼 なんであの曲に合わせて、
キレイなアクションができたの?
春花 あれは、曲を流しながら、
それに合わせて、ちゃんとテンポを合わせて。
青沼 でしょ?
だから、それがもうすでに彼の中で、
自分はコンダクターになってるわけですよ。ね?
高野 頭にあるのは、小澤征爾さんなんですよ。
春花 あのー、やっぱりそのへんは、
タクトを振ったときっていうのは、
それらしい感じにならないと、
曲を奏でたっていうことには
ならないと思ったんで、
それは絶対やらないといけない、と思って。
青沼 音楽を知らない人が、
コンダクターの動きなんかを作ると、
たぶん違うんですよ。
ぜんぜん、なんかおかしな動きに
なってるハズなんですけど。
それがね、ピタッてはまってる。
春花 あれはー、ただの想像です。ほんとに。
僕はそんときは、他のスタッフと
2人でもう、 動きながらずっと。
滝澤 ずーっと動いてる。
面白かったですよ、横で見てるぶんには。
春花 で、実際モーション作るスタッフのほうが、
「え、こうですか?」
「いや、違う、ここでこうためて、こう」‥‥。
滝澤 「こうで、こうで」言ってる合間に‥‥(笑)。
春花 「手首のこの、ここから来て、こうだッ!」。
「上でこうちゃんとやってから、こう流れろッ!」
とかね。で、ずっと流れてますからね。
タクトの曲が。
青沼 いっしょに吹奏楽やってたりする人間も
いるんですけど、
みんながその出来上がりをね、
けっこう、スゴイ! って言って。
だから、そういうのってほら、知識がなくても、
出来ちゃうっていうのが、不思議ですよね。
春花 ただね、それがね、ちょっと裏があって(笑)。
見てもらったんですよ。
青沼 あ、サウンド側に?
春花 そう。見てもらったんですけど。
どう? って見てもらったときに、
ほんとうはこうじゃないけども、
らしくて嬉しいっていうのが、
やっぱり大事だから、ちょっとウソついてても、
らしいことになってれば、それが、
いちばん正解やっていう部分があるやん、って。
カリカチュアされて。
だから、そういう部分ではOKだ、
っていう部分でのお墨付きは
もらったんですよ。うん。
その人は熱心やから、
指揮の本とか貸してくれるんですけども・・・・(笑)。
青沼 でも、そういうもんなんかな?
っていう気がしますよね。
なんかほら、
こうじゃなきゃいけないみたいなものを
追求しすぎると、
らしくなかったりするっていうのがね。
高野 ゼルダ全体がそうですよね。
(つづきまーす!)

その3 滝澤さんの場合
「ちょんまげ天国/食玩
 (激戦 兜コレクション日本編) 」


まずCDなんですけど、
「ちょんまげ天国」っていって、
時代劇のテーマソングを集めたものなんですね。
僕、時代物が好きで、スタッフが紹介してくれた
「時代劇マガジン」ていう
季刊誌を読んでるんですが(笑)、
そこに広告が出ていて買いました。
で、春花と一緒に仕事をしてたんですけど、
深夜になると、これを、かけるんです。
「木枯らし紋次郎」とか「江戸を斬る」とか。
上條恒彦(さん)だとか、
舟木一夫(さん)の歌声をね、
聞きながら。
それからね、食玩。
海洋堂制作の、日本の兜コレクションです。
これはねえ、任天堂の前のコンビニでね、
買い占めるんです。
出社するときに買うでしょ。
「あれがないなあ」って、
昼飯たべに行くときに買うでしょ。
「まだ足りないなあ」って、
その帰りにまた買うでしょ。
え? 飾ってるか? 飾ってますよ〜!
机の後ろにね、特設ステージがあってね、
そこにずらりと。
それを見て、なごむわけです。
敵キャラに影響ですか? 
うーん、分かんないッスけど。
あったのかな? たぶん、
ないと思いますよ〜(笑)。
春花さんの証言:
「ちょんまげ天国」はねえ、滝澤は、
もう、ずっと、かけてましたね。
まあ、周りにもスタッフはいるわけだけど、
深夜になって人も減ってきて、
こぢんまりとした感じになってくると、
いちおう「なにを聞いてもいい」という合意のもとで、
というか、「かけるよ〜」と宣言して、かけちゃうわけです。
そうすると西郷輝彦(さん)の歌声が‥‥。
周りのみんなですか? 大丈夫だったと思うけど。
あ、大丈夫なフリをしてただけなのかな? どうなんだろ?
「西郷輝彦(さん)はやっぱり歌うまいよね」
なんて訊かれても、
若いスタッフは困っちゃいますよねえ‥‥。。
食玩はねえ、滝澤が買い占めるもんだから
コンビニも売れると思って仕入れるでしょ。
もうコンビニじゃないですよ、
一時は食玩ショップかと思うくらいでしたよ。
だって朝から買ってくるんですよ?
「おはようございます」っていいながら、
両手の袋にいっぱいの食玩、ぶらさげてるんですから。
高野さんの証言:
そうなんですよ、コンビニにね、
お菓子買いたくて、行くでしょ。
なのに、食玩しかおいてないんじゃないかと思うくらい、
食玩ばっかり! あれは困った。
ゼルダが完成してほんとうによかったです。
僕のお菓子ライフのためにも。。

撮影協力:
THE RIVER ORIENTAL KYOTO
http://plandosee.co.jp/tro/

この座談会は、鴨川沿いの大きなレストラン
「ザ・リバー・オリエンタル・キョウト」で
収録されました。
昭和初期の巨大な木造建築は、
もともと豪奢な割烹旅館「鮒鶴」だったもの。
アジアのリゾートふうのしつらいを加味し
レストラン、バー、パーティールーム、
結婚式もできる教会などをもつ施設に
生まれ変わりました。

京都市下京区木屋町通り松原上ル美濃屋町180
Tel. 075-351-8541
Fax. 075-351-5688
阪急河原町駅より徒歩6分、
京阪五条駅より徒歩3分、
JR京都駅からタクシーで約10分

営業時間:
ブライダル 10:00〜20:00
レストラン 17:30〜23:00
バー 21:30〜03:00
2002-12-13-FRI