気仙沼のほぼ日便り

前回からひきつづき
今回も12月16日(日)と
間近に迫った、
「矢野顕子の音楽の稽古場」、
終了後のおたのしみ
「おいしい打ちあげごはん」ご協力の
お店を紹介していきます!

今回ご紹介するのは、岩手県一関市藤沢町の
館ヶ森アーク牧場です。
打ちあげのプロデュースから、
当日の準備まで、いろいろとお世話になっている
斉吉商店の和枝さん、
カッパとウサギのコーヒー屋さんでおなじみ
アンカーコーヒーの紀子さん
(やっちさんのお姉さんです)の
打ち合わせに同行させていただきました。

ひろびろとしたレストラン。
打ち合わせがはじまります。
そもそも、今回私たちがやってきたのは、
打ちあげのおかずの一品として、
アーク牧場さんのおいしい豚を
出していただくためです。

アーク牧場さんのホームページを
ご覧頂いてもよくわかるのですが、
鶏や豚の牧場のほか、
ウサギ、羊、ロバなどとふれあえる広場、
ハーブガーデン、野菜畑、ラベンダー畑など……
とにかく見どころがもりだくさんの牧場なのです。

そう、そしてそんな牧場にあるレストランですから、
牧場産のうみたて卵、
とれたて野菜、高原豚、手作りパン……
といったメニューを食べる事ができ、
お土産も買う事ができるという、
なんともぜいたくに、
自然の恵みのいいとこどりができる牧場です。

ですが今回は打ち合わせのみ!
これだけで帰ってしまうなんて、
そのことが悔やまれます。
ああ、ヒツジやヤギとふれあいたい。
一面にひろがる花畑を散歩したい。
手作りパン教室にも参加したい。
たまごひろい農園で有精卵を拾いたい。
くーっ、今度、ゆっくり来るぞ!
心の中で葛藤を繰り広げていると、
なんと、夢のような皿がやってきました。
こちら!
館ヶ森高原豚 吟醸漬!

吟醸漬は、その名のとおり
ロース肉を大吟醸の酒粕と、
本醸造の味噌に漬け込んでいるそうです。

「サユミちゃん、
若いんだから食べなさい!」
という和枝さんの言葉に
後押しいただきながら、
えんりょせずに食べました。
……しっかりとしたお肉の味がします。
おいしい!!

お皿が登場した瞬間の
「私たち、肉に飢えてるからっ」とは、
これまた和枝さんのお言葉ですが、
そうなんです、おいしいお魚はたくさん食べる機会に
恵まれ過ぎているほどなので……
確かに私もすこし、気仙沼に来てから、
「肉を見る目」が変わったかもしれません。
なんというか、
肉にたいする、積極性が増し、
肉への欲求が、強くなったような気がします。
高校生以来の、
よみがえった肉への恋心!
ですが、ですが、その想いを差し引いても、
このお肉は大変おいしかったということを
記しておきます……。
そして、このお肉は打ちあげメニューとして
登場するほか、
会場でもお土産として購入することができます!

個人的な再訪を強く誓った私ですが、
冬期期間(1月〜3月)、
一部施設が休業となるそうです。
遊びにいかれる際は、
事前にホームページで、
チェックするのがおすすめですよ。

さてさて、このメンバーの
打ちあげうちあわせ、
この日はもっといろいろありました。
ご紹介をつづけていきたいと思います。

つづく…

みなさんこんにちは。
気仙沼のほぼ日のサユミです。
山形で江戸時代から続く老舗のお麩屋さん、
文四郎麩さんにお邪魔しました。

急に気仙沼を飛び出して、
山形まで取材に出かけましたが、
それには訳があります。

12月16日(日)と間近に迫った、
矢野顕子の音楽の稽古場
この最後を飾る
おいしい打ちあげごはん、ですが、
こちら、気仙沼・三陸地方だけでなく、
北の美味しいものがたくさん食べられるような
ご用意を進めているのです。
(くわしくは、こちらをご覧ください

そして、そのおいしい打ちあげで
ご協力いただくお店の
一つがこの「文四郎麩」さんというわけです。
お店の中に入ると、沢山のお麩の製品が
並んでいました。

焼き麩、生麩、麩のお菓子、お惣菜…と、
さまざまな種類の麩製品が並んでいます。
こちらの「麩どーなつ」「麩かりんとう」は、
かりんとうのほうには黒糖が、
どーなつのほうにはシナモンがからめられ、
麩のやさしい味わいがひろがります。
ざくざくとした食感で、
ぜんぜん油っこくないので、どんどんいけます。
私はお土産にと買ったものの、
ばくばくと、帰りの車で食べきってしまいました。
お店のおすすめ商品でもありますが、こちらは、
16日の音楽の稽古場打ち上げ会場で、
お土産として購入することができますよ!

さて、ここからは
文四郎麩のみなさまに、
ご案内をしていただくことになりました。

文志郎麩さんのお店では、
お店の中の囲炉裏端で麩の煮物を
いただく事ができます。
これは、お写真中央のお母様が、
毎朝お客さんの為に炊いているものだそうで、
つまりは、山形県東根市のお店に行かないと、
食べられない味なんです。

これが、お麩の煮物。
ちなみにこの日は「麩のからあげ」つきでした。

正直、お麩料理を食べたのは久しぶりでした。
懐かしいなぁと思いつつ、
こんなにつるんとした、
なんというかコシのある麩の食感は初めてです。
香ばしい麩に、おいしい出汁が
しっかりとふくまれていて、
しみじみとおいしい。
そうそう、そうなんです。
このお麩の煮物。
こちらもおいしい打ちあげ、で
特別にご用意をしていただけるそうです。
ご来場のみなさまはお楽しみに!

すっかりおなかもあたたまったところで、
工場のほうを見学させていただくことに。
文四郎麩さんのある
東根市六田地区には、
8件の麩の製造所があるそうです。
麩作りにかかせない六田の水は、
参勤交代で都に向かう道中、
殿様が飲まれた水といわれています。

工場内は香ばしいかおりです。
麩の材料は小麦粉と水、
練って焼いて…
というのを説明するのに、
大変わかりやすい看板をバックに
麩作りの職人さんが
もくもくと作業をしていらっしゃいます。
小麦粉を練ったものがぴっちりと棒に
巻き付けられていきます。
これが麩の芯となるそうです。

さらにここにグルテンが巻かれ、
窯で焼かれます。
びよーんと伸ばして、
クルクルっと巻き付ける、
あざやかな手つき。
見ていて気持ちいい!
材料も作り方もシンプルですが、
良い材料を使い、
一つ一つの工程に職人さんの技が光る、
手作りの麩。
そりゃあおいしいはずだなぁと思いました。

文四郎麩さんでは、
様々な麩料理をコーディネートされており、
工場、販売店にも併設する
「六田ふ懐石料理処 清居」があります。
懐石料理のお造り、吸い物、煮物…と、
さまざまお召し上がりいただけるようですよ。

こちらの懐石は要予約となります。
私はこのとき、懐石にいけず、
今回、打ちあげごはんを
プロデュースしていただいている、
斉吉商店の和枝さんに、
「サユミちゃん、懐石食べなかったの?!
…ほんっとうに、すばらしいんだよ…」と
帰ってきてからもその美味しさや、
みごとな創作料理についてたくさんお聞きし、
ああ!ほんとうに、次こそ!と
思っているところです……。

さて、ほかにも打ちあげにご協力の
魅力的なお店が沢山あります!
できるかぎり、
こちらのページでも
ご紹介していきたいと思います!

つづく……。

来る2012年12月16日(日)
矢野顕子の音楽の稽古場」が
開催されます!

矢野顕子さんが、気仙沼で!音楽を作る?
最初に聞いた時はびっくりしました。
音楽を作るところなんて、
見た事もないですから、
それはもう、
気仙沼のほぼ日にとっても
嬉しい嬉しい大事件です。

会場は、気仙沼市民会館の中ホール。
ここに入るお客さんは350人ほどです。
矢野顕子さんの普段のコンサートからしたら、
かなり少人数の規模ですよね。
会場の下見をして思いました。
一番後ろの席でも、同じ空間にいる、
という近さを感じます。

慰問でも、見学でもない何か、
その実現に向けて何度も話し合いが行われ、
この稽古場が生まれました。
詳しくは、ぜひこちらをご覧になってほしいです。

矢野さんと糸井が作った
「気仙沼においでよ」という歌は、
何度聞いてもじーんとします。

かなしいこと つらいこと 山もり あるなら
たのしいこと うれしいこと その倍はあるのだ

と、歌詞にありますが、
ほんとうにそうなんですよね。
12月の気仙沼も「たのしいこと」がまってます。

さて、稽古場ともう一つ楽しみにしているのが、
稽古場終了後の「打ちあげ」です。
詳しくはこれもこちらをご覧いただきたいのですが、
紹介文で、
ーーーー
まずは入口でほかほかのごはんと
汁物をみなさまにお取りいただきます。
そのあとは、三陸海岸、
東北各地から集めたおいしいおかずを
好きなだけお取りいただくたのしいシステム。
ーーーー
と、あるとおり、
この打ちあげご飯は美味しいだけでなく
「たのしい」と思います!

斉吉商店の斉藤和枝専務プロデュース、
美味しいおかずをたっくさん予定しています。
これが……また、
話しているだけでおなかがすくような、
打ち合わせでした。

言い換えればあれです、
三陸の美味しいものを集めた
デパ地下にご飯茶碗を持って入れて、
しかも好きなだけ食べてよい、
といようなことです。



これを私たちは
「夢のデパ地下システム」
と名付けました。

矢野顕子の音楽の稽古場、
チケットは、本日、追加発売です


ぜひチェックしてみてください!

みなさんこんにちは。
秋の行楽シーズン、
お出かけしまくっている、
気仙沼のほぼ日のサユミです。

さて、前回更新の羽田神社の投稿から
すぐあとですが、
紅葉を見に出かけました。
今回もお出かけメンバーは、
貞子さん、
貞子さんの夫であり、斉吉商店の会長、健一さん。
そして斉吉商店のサポートのお仕事をしているほか、
港のスズメさん便りでの投稿もしている、藤野さん。
そして私です。
※これまでのお出かけシリーズは
こちらをご覧ください。
魚市場に行った日。
貞子さんとお出かけー浜甚句編ー
貞子さんとお出かけー徳仙丈山編ー
貞子さんとお出かけー神社編ー

今回は、珍しく午後からのお出かけ!
だったのですが、
車に乗って早々、
なんと貞子さんがおにぎりをくださいました。

〜今日のおにぎり〜
鶏ゴボウの炊き込みご飯

貞子さんのおにぎりって、
塩加減、握り具合、本当にすばらしく、
美味しくて、これも一瞬で食べ終えました。
貞子さんは、料理上手で、
お出かけの時はいつも
本当においしいお弁当を用意してくださるんですよ。
……で?あ、いや、
うらやましいでしょう!という自慢でした。

まずは、陸前高田の八木澤商店さんの、
できたばかりの工場へとお伺いしました。
八木澤商店の河野社長ともお会いします。

こんにちはー。
この日、社長は打ち合わせ中で
いらっしゃいましたので、
私たちはまわりの工場をぐるっと見学します。
こちら、元小学校の校庭だった所に
工場を建てたそうです。
広い敷地に広い工場。
震災前よりも縮小したとお聞きしましたが、
あたらしく白い壁の工場は、
とても立派。輝いて見えます。

ところで、私も自宅で
八木澤商店さんの
ぽん酢「君がいないと困る」※商品名です
を使っていますが、
ほんとに、一度使うと、
きらしておけないくらい、美味しいです。
お醤油、みそ、つゆ……など、どれも美味しい!
ネットで買う事もできますよ。

では次は、おいしい八木澤さんの商品を買いに、
店舗へと向かいましょう、
ということになりました。
藤野さんの運転で、
秋の紅葉ルートを進んで行きます。

窓を開けて、じっと外を見つめる貞子さん。
「すばらしいねぇ。大自然に感謝だねぇ。」
ほんとうですね。
色の折り重なる
山々の美しい事といったら!
田舎育ちの私は、子どもの頃こういう景色を
なんとも思わなかったところがありますが、
紅葉をきれいだね、と言い合える
このみんなでのお出かけ、すべてが合わさって、
素晴らしいのだなと思いました。
そうこうしているうちに、国道343号名物
「ループ橋」にさしかかります。

ぐるっと一周、回る道、
来た道を戻るようで、らせんのように道は続き、
今来た道のカーブが目の前に見えて、
不思議な気持ちになります。
ループ橋じたいが初めてだったもので、
うわーっと感動しているうちに、
ループを抜けてしまい、
ぜんぜん写真が上手く撮れませんでした。

とにかくこの辺りは、
紅葉ドライブを楽しむには最高です。
ちょっと車から降りて写真を取りました。
貞子さん、
「樹間をみてください!きれいだよ!」
とツウなコメントをくださいました。

その後、陸前高田の矢作というところにある、
八木澤商店さんの事務所&店舗にお邪魔しました。

貞子さんはお味噌を、
私は「割みそせんべい」を買いました。
岩手は南部せんべいが名物なのですが、
老舗おせんべい屋さん巖手屋さんとの
コラボ商品です。
これは割ってあるところに染みた
味噌の味がまたおいしくて、
お土産にと思ったのですが、
帰りの車内で食べきってしまいました。

ここはかつて、旅館だった建物を改装したそうです。
ちなみにこちら、
気仙沼のほぼ日事務所の内装をお願いした、
京都の三角屋さんが手がけていらっしゃいます。
木製でできたサッシなど、
随所にこだわりがみられます。
貞子さんも感心されていました。

今回のお出かけは、
非常にゆるやかなものだったのですが、
ドライブ中の窓から、
美味そうな、気になるお店を沢山発見しました。
今度、陸前高田の街を中心に
ご紹介してみたいと思います。

だいぶ寒くなってきた気仙沼ですが、
ほぼ日でも大変お世話になっている、
「金のさんま」の
斉吉商店のおかあさんである貞子さん。

最近では、二子玉川の高島屋で
ばっぱの台所」という催事に立つなど、
ひっぱりだこです。

そんな貞子さんと、前々から決めていた、
「羽田神社に行こう」というお約束を
実行する日がやってきました。
ひさしぶりの貞子さんとお出かけ!
※これまでのお出かけシリーズは
こちらをご覧ください。
魚市場に行った日。
貞子さんとお出かけー浜甚句編ー
貞子さんとお出かけー徳仙丈山編ー
今回もお出かけメンバーは、
貞子さん、
貞子さんの夫であり、斉吉商店の会長、健一さん。
そして斉吉商店のサポートのお仕事をしているほか、
港のスズメさん便りでの投稿もしている、藤野さん。
そしてそれから貞子さんのご飯をよく食べている、
気仙沼ニッティング、リーダーの
そして私の5人です。
行き先は、
気仙沼でも長い歴史がある、羽田神社。

会長のお話だと
「行くのは『お山がけ』以来だなぁ」と
のことでした。
お山がけ、とは、数え年7歳の男の子が、
羽田神社の山のさらに上に登って、
奥にある院にお参りをしてくる、という
通過儀礼のような行事です。

ええと、7歳の時以来……
「約70年ぶりくらいですか」
とすかさず突っ込む藤野さん、さすが!
会長は今日の日をたいへん楽しみにしていたそう。
それはそれは、久しぶりですもんねぇ
などと言いながら、
車は羽田神社のある山に到着しました。

社務所のみなさんにご挨拶をしたのち、
まず、羽田神社の御神輿を見せていただきました。
この御神輿は、毎年旧暦の9月29日にあたる日
(今年は11月12日)に、
この山から海のほうへ担がれていくのだとか。
そうすることで「海と山に守られる」と
言い伝えられているのだそうです。
その昔「神輿を買った」こともある
気仙沼のお祭り男、健一会長は、
御神輿を真剣なまなざしでじっくりと見ていました。

さっそく189段の石段をのぼります。
石段の両脇にある灯籠は、
震災でほぼ倒れてしまったそうです。
ところどころ、傷跡が見て取れました。

ところで、この日を待ちわびていた会長は、
さっきよりもいっそう足取りが軽やかです。
と、いうより早すぎて、
全然追いつけません。
気仙沼の車生活にどっぷりと浸った私にとって、
この石段は大変な試練でした……。

ようやく上りきったところで、
右手に、すばらしい景色。
わあーと、みんなの歓声です。
ここから、大島の亀山、唐桑半島が見えます。
晴れていたので、遠くのほうまで
綺麗な緑が見えました。
気仙沼出身の作家水上不二は、
「海はいのちのみなもと 波はいのちのかがやき 
大島よ 永遠に緑の真珠であれ」
と謳ったそうですが、
この日、ここから見た大島は、
まさに「緑の真珠」にふさわしい、
美しさ、鮮やかさでした。

「お山がけ」の際にのぼっていく坂道は、
さらに上の山頂へと続いています。
女人禁制で、お母さんはついていけないため、
ここで子どもたちの帰りを待ちます。
けっこうな急勾配の斜面、
お母さんは、ドキドキでしょう。
そしてきっと、戻ってきた子どもたちを見て、
「たくましくなった」と感じるのでしょう。
私は自分が親になった気持ちで、
やや妄想にひたりながら、
この、健一会長も、かつてはそうやって
お母さんに見守られながらここを
登っていったんだなぁと
しみじみ思いました。

みんなでお参りをしたあと、
貞子さんが、上を見上げています。
上には何があるかというと……
大きな大きな杉の木。ご神木です。

杉の木には太郎坊、次郎坊と名前がついていました。
はてしない歴史を感じる太い幹は、
神々しくもありました。
すっかり気持ちもリフレッシュしたところで、
羽田神社を移動、
ツツジで有名な徳仙丈山
ちょっと手前で、
おまちかね、お昼ご飯です。
またもや、貞子さん手作りのお弁当を
いただくことになりました。

〜今日のお弁当メニュー〜
・焼き鮭
・ホウレン草とベーコン炒め
・ピーマン炒め
・たまごやき
・おにぎり
・デザートは柿

おいしい、おいしいです!貞子さん!
お皿にとって頂きました。
そしてさらにおかわりしました。
毎回毎回ご飯いただいていいんでしょうか。
おなかいっぱい。ごちそうさまでした。

よく、
「サユミちゃんは、どんな仕事をしているの?」
と聞かれるので、
「いろいろあってなんて言うか難しい……」
と思っているのですが、
気仙沼の人に支えられながら、
ご飯を食べさせてもらったり、
この街のことを伝える仕事をしています、
というのが答えかもと思いました。

帰り足、もう一つ
気仙沼に古くからある羽黒神社にも
立ち寄る事にしました。

境内には「山神」と書かれた石碑があります。
約1200年の歴史があると言われる
この神社の周りには、
これまた歴史を感じさせる
巨木がきれいに並んでいて、
この神社や土地が、
長く住民に親しまれてきたのだと
いうことが分かりました。
気仙沼は海のイメージが強いですが、
その歴史は山から始まったのだということを
たびたび感じることがあります。

夕暮れにさしかかる街を走りながら、
「今日はほんとうに素晴らしい日だ」と
会長が何度もおっしゃっていました。
「素晴らしい日」
私はそんな言葉を
ほとんど使ったことがありませんでしたが、
今日は本当に素晴らしかった。
気仙沼の歴史も、景色も、ご飯も!

これからも、気仙沼で、
そんな一日が過ごせたら良いなと思いました。

みなさんこんにちは、気仙沼のほぼ日のサユミです。
気仙沼のほぼ日は、
本日11月1日、一周年を迎えました。

そもそも、気仙沼のほぼ日は…
ということで、開設時の記事を見てみますと、
ーーーー
今日からスタートした
この「気仙沼のほぼ日」のページでは、
糸井重里やほぼ日のスタッフが
「気仙沼のほぼ日」に足を運びながら、
思ったこと、感じたこと、決まったこと、
進んでいることなどを伝えていく予定です。
また、全国のみなさんに
「気仙沼のほぼ日」のことをお伝えする一方で、
地元のみなさんの生活に役立つような情報も
お伝えしていければと思っています。
ーーーー
私が、気仙沼のほぼ日に入ったのは、
今年の4月からですが、
そこからの気仙沼でも、
ほんとうに
いろんなことがありました。

震災からの日々の中での
街の移り変わりであったり、
逆に変わらない東北の港町の出来事であったりで、
良い事も、あんまり良くない事もたくさんあり、
ただその出来事の総数は、
私が東京にいたときよりも多いように感じています。

気仙沼は、
元気な人も入れば、
悲しい気持ちの人もいて、
楽しく明るい話題もあれば、
憤るような話題もあります。
遠くにいるみなさんからすると
思っているよりも元気で、
思っているよりも復旧していないというのが、
今の姿かなぁと思っています。

そんな中で、気仙沼のほぼ日は、
開設当初に掲げていた
「思ったこと、感じたこと、決まったこと、
 進んでいることなど」
今の気仙沼のことを、そのかたちのまま、
これからもお伝えしていきたいと思っています。

よく
「被災地で何かしたいけれど、
 行っていいのかどうか、迷っている」
と言われる事があります。

そういう声に対して、
気仙沼の人はきっと
「まずは気仙沼に遊びにきてください」
と言うんじゃないかなと思います。

震災によって
家や仕事をなくしたり、
大切な人をなくしたり、
今も辛い状況におかれている方は
多いわけですが、
気仙沼における
悲しい事と、楽しい事の起こる割合は、
震災前と変わらないはずです。

いや、もしかして、
楽しい事が起こる確率は、
ずっと増えているかもしれません。

「気仙沼に行こうかな、やめたほうがいいのかな」
と思っている方も多いでしょうが、
「気仙沼に行ってみよう」と思って、
震災後「来ちゃった」という方も
たくさん増えたみたいです。
誰かが遊びにきてくれると、
楽しい事が起こります。

だから気仙沼は、今すんごく、
楽しい事が起こりやすい街になってきている!
と、気仙沼市民である私は感じています。

11月にミナペルホネンさんのワークショップ
12月に矢野顕子さんの音楽の稽古場
ふたつのイベントを目前に、
ふたつの楽しい事が起こるということが、
決まっています。

そして「行こうかな、どうしようかな」と
迷っている誰かが、
よし、気仙沼に遊びに行こう!
と思って来てくれたら、
楽しい事が起こる可能性は
もっと高くなるんじゃないでしょうか。

そんなところで、
気仙沼のほぼ日乗組員、サユミの
1周年の記念更新とさせていただきます。

あっ!
もうひとつ、お知らせがありました!
1周年を迎えたこのページ、
現在ゆるゆると
デザインリニューアルの準備を
すすめています!
今すぐには、変わらないのですが、
ちかいうちに、1歳になって、
ちょっとパワーアップした
気仙沼のほぼ日ページを
見ていただければなぁと思います。

とはいえ、今日は何もなし……
というのも寂しいですよね。
せっかくですから、
この曲を聴いていただきつつ、
これまでの気仙沼のほぼ日で撮りためた
日々の思い出写真をご覧くださいませ。

こんにちは。続けてお送りしてきた
アンカーコーヒーオーシャン事業部のご紹介ですが、
いよいよこれが最後です。
その1、その2はこちらをご覧ください。
マグロはえ縄船の中へ!オーシャン事業部その1
船のくらしを垣間みる。オーシャン事業部その2

甲板長室、船室、食堂、厨房…とやってきまして、
つづきまして、お風呂です。
当然、お風呂やトイレもありますよ。
お風呂はシャワーが4つあり、
何人か同時に入る事ができますね。
ちなみに、湯船のお湯は「海水」で、
お風呂から上がるときだけ真水で流すそうです。

そして洗濯機は二層式です。
省スペースっていうのもあると思いますが、
やっぱり、脱水がしやすいからでしょうか?

最後、機関室・エンジンルーム!
か、かっこいいー!
映画で、ドラマで、
見た事があるような光景です。

この複雑に入り組んだようなパイプ、
「テープで色分けしてあるのは、
緑は海水、青は清水、赤はオイル……など、
それぞれなんのパイプか分かるように」
なんだそうです。

そして最後に教えていただいたのが、こちら
燃料清浄機。
これは燃料を精製する機械。
国によって燃料の粘度が異なるため、
海外で補給した油の
水分量を整えるもの、とのこと。
船の中、本当に知らない事ばかりでした…。
海の男ってすごいな〜と改めて
思いました。

ご案内いただいた、
やっちさん、お父さんの忠夫さん、紀子さん。
本当にありがとうございました。

さて、後日、
この船が出港していくところにも
お邪魔させていただきました。

船員さんたちと、見送りの家族をつなぐ紙テープが、
するするとのびて行きます。
見送る側の声援と、
船からの見送り感謝のご挨拶。
バックで「We Will Rock You」が
かかっていたのが印象的でした。

みなさんが戻ってくるのは、再来年の1月の予定です。
なんだか私も名残惜しい気持ちになりました。
最後の最後は映画「ロッキー」のテーマソングを
かけながらの出航でした。

勢いをつけながらすすんでいく第5八幡丸。
航海安全でいってらっしゃい!!

みなさんこんにちは、サユミです。
今回は、前回のつづき、
アンカーコーヒー(オノデラコーポレーション)、
オーシャン事業部のご協力をいただき、
第5八幡丸の船内部を見学させていただいたときの
様子を紹介します。

さて、この第5八幡丸、
震災で全損した第8八幡丸の
代船として建造されたものだそうです。
全長57メートル。
総トン数は439トン。
建造費は約6億4000万と発表されていました。

船の中、
まずは甲板長の倉庫。
船の修理用具、備品が入れられています。
やっちさんのお父さんこと、小野寺忠夫さんもまた、
船の知識をつぎつぎと教えてくれます。
ペンキでも、金具でも、
海の上に出たら、
手に入れる事が難しくなります。
ちいさな修理も丁寧にきちんと直す。
長い航海の中では大変重要なことなのかもしれません。

おつぎは、マグロの冷凍、加工、保存する魚倉です。
こ、この床部中央にある穴はもしや…。
冷凍したマグロを下の倉庫にいれるためのもの!

すべり台のようになっていて、
キンキンに凍ったマグロが、
ここをつるつると、流れていくのでしょう。
となりには、凍結室があります。
ライトはLED。
熱を発しないため、効率が良いというわけです。

操業中は、マイナス60℃。
当然身も凍るように寒いわけで、
こんな風にゆったり見学するのはおろか、
撮影もできないですよね。
この冷凍室、床下の倉庫ふくめて、
350トンほどのマグロが積めるそうです。
「マグロは海からあげたら一匹一匹、
真水に通してから凍らす」のだそうです。
海水がマグロの表面についたまま凍らすと、
魚が乾燥してしまうのだとか。

さて、つづいて、船室です。
船頭さんの部屋。
テレビもあり、ソファーもあり、
一番立派なお部屋です。

ここでポイント、ベッドのサイズは、
船頭さんも、船員さんもおんなじ。
見た感じ、結構狭い。
というのも、ベッドが広いと、
船の揺れで落っこちてしまう可能性があるため、
ベッドはあえて狭いのです。
「布団は船用っていうのがあるんだよ」
とも教えてもらいました。

そして、サロン(食堂)と厨房です。
スペースを有効活用するため、
椅子の下には食器!

船内にはいたるところにこういった工夫があります。
厨房も省スペースながら、
大変機能的に作られているのがわかります。

船橋上では、
たくさんの大漁旗がはためいていました。
マグロが大きく描かれた、
オノデラコーポレーションの旗もあります。
大漁旗は、新造船を祝うためのもので、
このお披露目の時のためだけに
贈られるものだそうです!
色とりどりの大漁旗、
やっぱりかっこいいですね。

初めてじっくり見せていただいた船の中は、
面白いことばかり……。
紹介しきれなかったこともあり、
せっかくなので、あともう一回続きます。
どうぞみなさんおつきあいください。

カッパとウサギのコーヒー屋さんでおなじみ!
気仙沼のコーヒーショップ、
アンカーコーヒー」。

アンカーコーヒーの専務、
やっちさんこと小野寺靖忠さん、
やっちさんのお姉さんである、
小野寺紀子さんには、
ほぼ日ともども、私も気仙沼に来てから
ずっとお世話になっています。

とある、飲み会でご一緒したとき、
じつは、アンカーコーヒーは、
株式会社オノデラコーポレーションの
コーヒー事業部であり、
「オーシャン事業部」っていうのも
あるんだよと、紀子さんが教えてくれたのでした。

オーシャン事業部、なんて聞いた事もなくて、
すごい、ダイナミックな事業部ですねと
ぼんやりした感想を言ってしまった私でしたが、
それから、オーシャン事業部は、
漁船のエサとなるイワシやイカ、アジなどを
輸入販売していること。
遠洋漁業に必要な資材や部品などの、
「船の仕込み」をしていることなどを知りました。

紀子さんと話していると、
「気仙沼で『ラス』って言ったら、
ラスベガスじゃないから、ラスパルマスだから」
とか
「船の仕込み用で、一年分の週刊誌が
まとめて売ってるんだよ」
とか、
そんな「遠洋漁船あるある」がいつも面白くて
いつか船の取材をさせてもらいたいなぁと、
思っておりました。

そして10月になり、遠洋漁業シーズン到来!
いよいよ船の取材に行くことが決定しました。
なんと船の中も見せていただけるとのことで、
こんなチャンスはなかなかありません。

当日、岸壁には大きな遠洋マグロはえ縄船
第5八幡丸が停泊していました。

この日は、船の完成披露と一般公開でした。
8年ぶりの地元籍大型船の施工ということもあり、
たくさんの見学者と、報道関係者が
集まっていました。

さっそく小野寺家と
関係者のみなさんのご紹介をいただきます。

左から、一等機関士さん
やっちさんのお父さん、紀子さん、
甲板長さん、八幡丸の社長さん、
通信長さんです。
船の上にいるのは関係者の方ばかり!

こちらは本日初航海という船員の田山さん。
写真は苦手、ということだったのですが、
「若手のホープ」
「期待の大型新人」ということで、
無理矢理撮らせていただきました。

そして、こちらが船頭(漁労長)さんです。
これ、ちょっとややこしいのですが、
船長さん、というのは船の運航を取り仕切りますが、
船頭さんは漁、船団の指揮を執ります。
「船頭さんはラスパルマスに家族がいるんだよ」
と教えてもらいました。
ちなみに、ラスパルマスは、
スペインのカナリア諸島にある都市です。

ああ、ラスパルマス。
気仙沼に来てから何度この地名を
聞いた事でしょう!
行った事ありませんが、
私も気仙沼に来てからは、
親しみを感じる街になりました。

そしてお二人並んでいる左が機関長さん、
右の白いタオルを巻いているのが船長さんです。
遠洋マグロ漁、
約一年三ヶ月の長い航海が迫っていますが、
船員のみなさんと談笑しつつ、
とてもリラックスされていました。

さて、やっちさんが指差しているのは
「BOSN'ST」(ボースンストア)
甲板長の倉庫で、船の修理道具や、備品がおさめられて
いるところだそうです。
やっちさんからすれば、
漁船は小さい頃から
当然のように身近に見てきた存在。
ということで、
ここからは、小野寺家のみなさんに
ご案内していただくことに!

さて、いよいよ船内部へ。
続きは次回!

三陸映画祭in気仙沼が行われた先週末、
気仙沼で行われていたもう一つのイベント、
気仙沼Tシャツアート展2012
にもお伺いしてきました。

そもそもの「Tシャツアート展」とは、
高知県黒潮町の「砂浜美術館」で
行われているイベント。
Tシャツをキャンバスに、
絵や言葉などを自由に彩色したものを
砂浜で洗濯物干しのように、
ずらっとならべて
展示するというものです。

「今回、なぜ気仙沼でこの展示を?」
その理由について、
実行委員の方は、
「きっかけはカツオつながり」と
お話されていました。
高知県と言えば土佐ガツオ。
そして、黒潮町のカツオ船が気仙沼に水揚げするなど、
震災前からずっと、
この二つの町は「カツオ」を通じて
関わりが深かったそうです。

すでに、この夏には
気仙沼市唐桑町で
気仙沼・唐桑Tシャツ海岸」という
Tシャツアート展が行われていました。
※こちらは長野県、
小布施町の「おぶせTシャツ畑
というイベントのコラボで行われたもので、
写真2枚目が、Tシャツ海岸の展示風景です。
(撮影:Takuma Hidehira)

このTシャツ海岸で展示されたTシャツのほか、
表面を気仙沼の小学生が、
裏面を全国各地の方が描いたというコラボTシャツ、
お気に入り写真をプリントしたTシャツ……など、
約800点のオリジナルTシャツが、
気仙沼の5つの会場で披露されました。

この中から、せんえつながら、私が
「気仙沼のほぼ日賞」を
選ばせていただくことになりました。
ずらりと並んだTシャツの景色は、壮観な眺めですが、
Tシャツを一つ一つ見ていくと、
どれも個性的な力作ばかり。
気仙沼をイメージした絵が多く、
中でも子どもたちのデザインしたTシャツには
魚の絵が多かったです。
ヒレの数にもこだわるような魚の描写の細かさと
「ヨシキリザメ」といった種類のマニアックさは
さすが気仙沼の子どもたち……と、
毎度のことながら感心させられました。
かなり迷いつつも、
ふたつの作品を選ばせていただきました。

また、黒潮町のおかあさんがた、高校生たちが、
気仙沼の戻りガツオを使った、
カツオの藁焼きたたきと、
カツオたたきバーガーというとても気になる
グルメを振る舞っていただけるというイベントも、
同時開催されていました。

カツオたたきバーガーは大人気のため
一瞬で配布終了となってしまい、
私は食べられなかったのですが、
(写真だけ撮らせていただきました……)
藁焼きカツオにはありつけました!
これが、ほんっとうに美味しかった!

カツオつながり、というだけで(?)、
全国の人と気仙沼の人との
コラボTシャツが何百枚も集まって、
高知からたくさんの方が気仙沼にやってきてくれて、
しかもおいしいカツオを
振る舞っていただけるなんて、
すごいイベントです。

Tシャツアート展は、今回に限らず、
継続的に行っていきたい、と
実行委員の方が話されていました。
カツオのご縁ではじまった、このアート展。
潮風を感じながら、
ひらひらとはためくTシャツを、
ぜひ見に来てほしいです。