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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-09-28

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・はじめて観戦するドジャースタジアムの試合。
 大谷翔平選手の7回のヒットが決勝打となって
 ドジャースの地区優勝が決まる特別な夜になった。
 日本の野球のような胴上げはないけれど、
 優勝の瞬間を観客席で味わえるという経験ができた。
 ここらへんのことも、毎日言ってるが
 同行の永田さんが詳しく書いてくれるので、省略する。

 しかし、取るに足らないことを少しだけ書こうかな。
 まず、断言してもいいと思うが、日本の野球場では、
 「箸をつかって弁当を食べている人」が多いが、
 アメリカのスタジアムでは、ほとんどそれを見かけない。
 日米ベースボール文化の大きなちがいであろう。
 次に、日本のプロ野球の試合では
 「贔屓の球団のハッピを着ている人」もとても多い。
 しかし、これもアメリカではとても少ない。
 だいたい球団の名入りのハッピを売ってもいないのだ。
 あんがい、こういう大事な取るに足らないことを
 書いている人も少ないような気がしたので、ぼくが書こう。

 あと、もうひとつだけ。アメリカのベースボールでは、
 「ファールボール」が少ないような気がするのだ。
 日本の野球では「臭い球(打ち損じそうなボール)」は、
 思い切り打つのではなく、ファールにして粘る。
 そういう技術を持つものが「巧打者」と言われるが、
 ベースボールの世界ではそういうことがなさそうなのだ。
 基本的に「打つ」と「見逃す」のどちらかを選ぶ。
 打った結果としてファールボールになることはあるが、
 「ファールで逃げる、ファールで粘る」という発想は、
 どうも、ないのではないだろうか。
 もちろん、ぼくは野球の素人なので、わかりませんけどね。
 「ファールで逃げる」というのは、言ってみれば、
 バットに当てるだけは当てて、ファールゾーンに転がし、
 「選択を先延ばしにする権利を得る」ということである。
 それはそれで、かなり難しいことをしているのである。
 あえてそんな難しいことをして、
 判断を保留する権利しか得られないのなら、
 打って結果を出すか、打てない球を見逃すほうがいい、
 と、メジャーリーガーたちは考えているように思ったのだ。
 なんだか、日米の野球のちがいのような気がしてね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
次は、雨天で延期になったつな引き大会に期待しています。


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