シェフ | さて! 前回の取材から2週間ほど経ちました。 あらためて、ジョージさん、ありがとうございました。 いかがでしたか? |
ジョージ | 女性にとって香りっていうのは ものすごく身近じゃない? だけど男にとっての香りって やっぱりハードル高いのよね。 そう思ったわ。 |
西本 | 高いです、高かったです。 |
ジョージ | 男はにおいがしないのが潔かったんだけど、 でもにおいがしない人間なんてありえない。 そうするとたとえば 自分の生活臭とか体臭とかいうものを 味方につけながら自分のにおいを作りあげていく、 っていうのはもう、日本の男の最後の挑戦よね。 |
西本 | あぁぁ。最後の聖戦に。 |
ジョージ | そう、それ! そこに立ち向かうような感じ! |
シェフ | 細かいこと言うと、 体調でも自分のにおい、変わりますよね。 |
西本 | 変わる、変わる。二日酔いだと全然もう。 |
シェフ | そう、二日酔いはすごい如実で、 風邪ひいた時も自分のにおいは違うし。 健康な時は無臭に近い気がする。 |
西本 | そうなんですよ。 僕は体調がよくて快活な人としていたいんです。 |
ジョージ | なのになんかいつもの自分じゃない自分に なっちゃう日ってあるのよ。 毎日ほがらかでもいられない。 そうするとね、やっぱり自分の香りがほしくなる。 |
シェフ | ジョージさんは「その時用」の 香りがあるんですか。 |
ジョージ | うん。「その時用」のがある。 僕はやっぱりオー・ソバージュ。 ディオールの匂い。むかぁしの匂い。 |
シェフ | 元に戻してくれるんですね、自分を。 うーん、そういう思い出はないなぁ。 |
西本 | じゃあCK ONEに戻るか(笑)。 |
ジョージ | それもいいかもしんないよ。 ボクがオー・ソヴァージュ使ってた頃って もんのすごく生意気で上昇志向が強くって、 それこそもう世界は自分のためにあった時代で、 たぶん今の自分を作り上げているもの、 今の僕にとっては贅沢でもなかったんだけれども その当時の僕にとってはものすごく贅沢なものに 果敢に挑戦して、 「うわっ! これなんだ? これなんだ?」 ってびっくりしてた時代に使ってたやつだから、 そのびっくりが思い出されるんだよ。 人には絶対そういうにおい、あるんだよ。 |
西本 | 僕がCK ONEを買ったのは吉本興業時代、 ロンドンブーツ1号2号の マネージャーしてた時でした。 ロンブーがぐぅぅっっと上がっていく時で、 もうこっちもあっちも寝てないし、 でもテンションが上がって仕事はうまく行ってるし。 |
ジョージ | 疲れないんだよね。 |
西本 | 疲れない、っていう時になぜか香水を 「買おう」って思ってたんですよ。 |
ジョージ | その時の運気を上げる香りってあるの。 で、そういう香りを、 今、弱っているときに使いたくなる。 けれどずっと残るのもイヤなの。 元気になったらその匂いは捨てたいのね。 だから身体ではなく、ハンカチだとかにつける。 で、鼻の周りで楽しんだりする。 するともう嬉しくってね。 においの力ってすごいと思う。 いろぉんな記憶に直結してるし。 で、ネ。じつはこれ、買ったの。 |
シェフ | ジョー マローン ロンドンの ブラックベリー & ベイのボディ クレームですね! |
ジョージ | こないだ、テスターをつけて帰ったじゃない? 香りがとっても気に入って、買うことにしたの。 これを買ったとき、 伊勢丹に伊勢谷友介さんみたいな すっごいかっこいい店員さんがいたのよ。 |
西本 | そっちですか! 僕がフレグランスを選んでもらった 堀川さんではなくて? |
ジョージ | たまたま、いらっしゃらなかったの。 それでその伊勢谷に、 これいただきたいんですけど? って言ったら、 「どのようにお使いですか?」と聞くから、 以前これをつけたら 半日すごく気持ちよかったんです、って伝えたの。 そしたら、これに合わせるのは バジルやシトラス系がいいですとか、 いくつかみつくろってくださって。 これそのものはパーソナルな香りなんですって。 つけても自分にしか香らないの。 |
シェフ | なるほど。 |
ジョージ | これをつけて頬杖をつくと 自分が素敵な人間になった気がするの! だから家を出る前とかお風呂に入ったあとにつけると 自分の香りのベースができるのネ。 そうしてパルファムの小さいのを持ち歩いて、 それは同じ香りでも別の香りでもいいんだけど、 持ってでて、お外でプシュっとやると、 ベースの上に違う匂いが乗りますよ、 って提案までしやがったのよ! |
西本 | 伊勢丹の伊勢谷、やりますね! |
ジョージ | そう、伊勢谷、やるのよ! それでさ、ジョー マローン ロンドンは パッケージングがすごいのっ! ほら、これ見てごらん。 |
ふたり | うわーっ! |
ジョージ | ブラックベリーのアクセサリーがついてたの。 買ったものにあわせて こういうのがいくつも揃っていたのよっ。 もうやられちゃう! これね、発売当初のみの特別仕様なんですって。 |
西本 | やりますねえ。いいタイミングでしたね。 |
ジョージ | そして、これね、わかった。 「わたしの香り」じゃないの。 「みんなの香り」なの。 ちょっとやってみる? 手につけてごらんなさい。 この前、打ち合わせをしているときに、 気持ちがつまってきちゃったの。 その時打ち合わせをしているメンバーに 「これつけようよ」と、 ボディ クレームをドンって出して、 おじさんたちよ? 手につけさせて、 みんなで同じ匂いになったわけ。 そうすると気持ちが変わるの。 そのメンバーに一人、マイナス発想の方がいて、 いいアイデアもぜんぶそいつが潰すの! でもそいつが「うん」といわないと進まない立場で。 ところがこれつけてみんなで同じ匂いになったらね、 そのオヤジったら、気に入っちゃって しばらくしたら、自分でまた蓋をあけてまた塗って、 そのうち「うん。いいね!」って言い出して。 「それ、ちょっとやってみようか」って! |
西本 | なんですか! そのフリスクのCMのような わかりやすい効果は(笑)! |
ジョージ | ジョー マローン ロンドンはそういう使い方がある。 家の中でもね、ボディ クレーム、 シャワー ジェル、ルーム フレグランスなんかの 組み合わせはアリなんだなと思ったな。 うちの彼に風呂あがりにつけると ただの中年のデブが いい匂いのするデブに変わるの(笑)。 これが面白いのっ! でさ、ベッドに入るでしょ。 別に色っぽいことはないんだけどさ、 ドリーミーなのよ(笑)! 久しぶりにのろけちゃうけどさ。 |
シェフ | 「ほがらか」を思い出しますね。 西本家はどうでした? |
西本 | 香水をつけてなかった妻は、 いただいたサンプルを渡したら、 喜んでいたみたいなんですが、 僕の買ったクルジャンそのものには 興味をしめしてなかったんですよ。 ただ、ぼくがつけはじめて幾日かしたある日、 朝、ぼくがジョギングして家に戻ろうとすると、 だいたいその頃には妻は家を出てるんですが、 家の外にいるにもかかわらず クルジャンの香りがしてきたんです。 どうやら、妻がクルジャンを つけはじめたようなんですよ。 驚いたのは屋外にいるにもかかわらず、 その香りが漂ってきたこと。 どうやら、かなり気に入っているみたいで、 先日、妻の友人たちが集まったときに クルジャンの話になって 「どういう香りなの?」という問いに 「ただただ、いい香りなのよ」 って説明してましたから。 ちょっと意外だったのが、 その場にいた女性の誰よりも ぼくが香水に詳しくなっていたということ。 思ったよりも30代の女性たちは 香水のことを知らなかった。 そして、伊勢丹の香水売り場では こうやって細長い紙にシュッとやって、 ちょっとひらひらさせて揮発させて、 先にショップのお姉さんが香りを確認したうえで その香水の名前を書いて渡してくれるんだよ、 って言ったら驚いてました。 |
シェフ | 堀川さん、まるでソムリエのようだったね。 西本っちゃんのクルジャンは、 ぜんぜんうるさくない。 あっ、そういえば? というくらい。 |
ジョージ | 重たくないのよ。 意識すれば香るかな、くらいで。 探すとわかる、一回わかると 次々といい香りが出てくる感じネ。 意識してない人には気づかれないけれど、 深層心理のなかに「いい香りがくるなあ」って。 いつもこの匂いを連れてくるって感じなのかな。 もう、いくら分ぐらい使った? 3000円分くらい? |
西本 | 二人合わせるとそれくらいはいってます。 すっごい勢いであの香水は なくなっていくんだろうと思います。 年2本ペースかも‥‥。 |
ジョージ | いいのよ、それで。お仕事なさい。 |
西本 | そして、当初のもくろみとして 子どもたちにとって 「いい香りのお父さんになりたい」だったのが 「いい香りのお父さんとお母さん」になりました! |
ジョージ | 「お父さんとお母さんが 仲が良かったときの思い出の香り」 にならないようにね! 余裕が無くなってきたら香りなんて二の次だもの。 |
西本 | ハイ、この香りが楽しめるくらいには がんばろうかなと思いました。 |
ジョージ | まあ、素晴らしい! これが新宿2丁目の男子が集まって フレグランスの話をしてるんじゃなくて、 普通の既婚男子を惑わせたんだから、 面白いわよね、香りって! |
西本 | サンプルをもらったじゃないですか。 一つ、大事にとっているんです。 |
ジョージ | それはなんで? |
西本 | ぼく、今度、一人でフルマラソンを走るんですよ。 その時にいいにおいをさせてやろう! と思って。 |
ジョージ | ああ、男子の考えることはわかんないわ! ま、いいかもしんない。 力水じゃなくて力香水! 世の中いろんなにおいで満ち溢れているけれど、 一度意識しちゃうといい香りって楽しくて 気になってしかたなくなっちゃう。 人間、加齢臭なんてないのよ。 でも、自分はにおってるかもしれない、 という不安はある。 みんな匂いをなくそうと思って努力をするけど、 一つ消しても次の匂いがやってくる。 それを解決するのは 匂いを消すことではなくて 自分の香りを見つけることだったわけよね。 |
西本 | ジョージさんありがとうございました。 またぜひ御一緒させてください。 |
ジョージ | もちろんよ! フガッ。 |
日本の男の最後の挑戦
目に見えない相手との戦い‥‥、それが「香りの戦い」なのよね。しかも、においというのは自分で気づかぬものでもあるの。自分のにおいには慣れてくる。けれど、他人にとって。特に初めてあった人にとっては強烈な印象としてココロに残る。日本の男って、ずっと「他人の目を気にするコトを潔いとしなかった」生き物だったと思うのネ。でもこれからはそんなコトじゃダメだと思う。まわりの人を気持ちよくさせる力が、これからの「ステキな男のオトコ力」。他人の目は気にしなくてもいいから、他人の鼻は気にしなくちゃ。最後の挑戦‥‥、手強いの。
毎日ほがらかでもいられない
人間、大人になるってことは、自分が苦手なコトもあまんじてするってコトなのよ。大人として成功するっていうことは、自分が苦手なコトを上手にできるようになるってコトなのかもしれないわね。そうすると、どんどん自分らしらを忘れるの。でもね。大人として「スゴく成功する」ってコトは、自分らしさを突き詰めるというコトでもある。だからいつも「自分らしさを取り戻す」ってことが必要になるワケね。そんなときに香りの力。プシュッとやって、「お帰り、ボク」ってニッコリするの。
運気を上げる香り
捨てることができない香水‥‥、ってあるのよね。それを使っていたときに、よいコトがあった香り。でも、今となっては時代遅れだったり、今のファッションに合わなかったりする。だからお外で使うことはちょっとはばかられるんだけど、でも捨てられないの。「自分だけのプライベート」な香りっていうのを持つのもステキじゃないかとおもうのネ。例えばお風呂に入るとき。首筋にちょっとそれをつけるの。そしてユックリ、湯船に浸かる。ステキな思い出をアタマの中に浮かべながらユックリ体をあっためると、明るい運気が体の中にやってくる。そんあ香りの使い方もいいんじゃないかと思うのネ。
伊勢谷友介
シュッとしてるの。背筋が伸びてて、なによりスーツの着こなしがステキで「薫り立つような」人。そんな人が薦めてくれるのが「ステキな香り」っていうのがいいでしょう? ちょっとドキドキしちゃうのね。
いい匂いのするデブ
二人でいい匂いのするクリームを塗りっこすると、みるみるうちになくなっちゃうの‥‥。ジョー マローンのクリームが(クレーム、って言うのよネ、商品名は)。表面積がおおきいのネ(笑)。いい匂いのするデブを維持しようと思ったら、本当に一生懸命がんばらないといけないんだわ。食費もかさむし(笑)。‥‥、ってそんなコトを思いながら、シーツだったりお洋服だったりにそのいい匂いがついて残るの。ダーリンが脱ぎ散らかした服を畳んで整理するとき、そのシアワセな匂いがフワッと漂って鼻をくすぐる。それが本当にシアワセなのね。そろそろボディークリーム買い替えなくちゃ‥‥。