糸井 |
なにか変わったものをつくっているというのは
話に聞いてたんだけど、
実際に、ニンテンドーDSを触ってみて、
「ああ、こういうものをつくってたのか!」
って思いましたよ、ほんとに。すごいね。
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宮本 |
ありがとうございます。
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糸井 |
いや、これでね、かなりえらいことが
起こるんだと思うよ。たぶん。
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宮本 |
そうですね。でもね、ぼくら心配性なんで、
やっぱり、ここまでのものをつくっても、
「みんなが1万5千円も出してくれるか?」
みたいなところは、気になってて。
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糸井 |
宮本さんは、その、
「5円分でもいいから
しつこく価値を足していく」
ような発想をね──。
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宮本 |
やめたほうがいいですか(笑)?
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糸井 |
しすぎ。
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宮本 |
ははははははははは。
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糸井 |
あのね、たしかにね、
それが大事な時期もあった(笑)。
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宮本 |
まあそうですね(笑)。
とくにこのニンテンドーDSは、
これまでの価値で考えられなくて、
「価格が見合うかどうか?」
みたいなことより、
もっと雑に「2台買ったほうがいいです!」
みたいなことが言えそうな、変な機械ですね。
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糸井 |
うん。それと「5円を積み重ねる」のと、
ぜんぜんちがう(笑)。
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宮本 |
そうなんですよね。なんか、
「PSPより5千円安い」とか、
「実際は1万円ほど安い」とか、
そういうんじゃなくて。
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糸井 |
うん、そんな話にしたくないですよね。
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宮本 |
そうそう。そういうんじゃないよな、
っていう。
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糸井 |
なんていうの? 勝負させようにも、
そもそもこれまでのゲーム機とは
試合ができないような気がするんですよ。
たとえば、同じプロレスだとしても、
女子プロレスの人とさ、ハルク・ホーガンは
試合ができないじゃないですか。
あ、でもアメリカには
そういうのもあるんだよな。
いまの例はちょっとまずいか(笑)。
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宮本 |
(笑)。でもいま実際に、
そういうことになってるんですよ。
たとえばアメリカではニンテンドーDSが
すごくよく売れてるんですけど、同時に、
SP(ゲームボーイアドバンスSP)も
売れてるんです。
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糸井 |
あー。
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宮本 |
同じくらいに売れてるっていう。
だから、これまでのゲーム機と
食い合うものじゃなくて、
違う軸のものなんですよね、ほんとうに。
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糸井 |
とくに日本って、何かと何かが拮抗して、
抜いたり抜かれたりっていうケースって、
じつはあんまりないんですよね。
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宮本 |
そうですね。
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糸井 |
なのに、そういう拮抗に備えているというか、
はずれるのを、すごくこわがってますよね。
だから、つくるほうが、必要以上に
「これははずれませんよ」ってものを
つくろうとして、はずしてみたり(笑)。
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宮本 |
ああ、そう、そうですよね。
ぼくらも、そういうことをずっと感じてて。
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糸井 |
実際、ニンテンドーDSをつくってるときに
「これは失敗してはいかんぞ」的な
ムードっていうのは、あったんですか?
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宮本 |
いや、ないですね。どっちかいうと、
「失敗したらあかんぞ」というよりは、
なびかないように、
なびかないように、っていう。
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糸井 |
びびらないように。
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宮本 |
びびらないようにっていう。
だから、まあ、
「腰引かずにバット振ろう!」
みたいなのがね、
最近のモットーなんですよね。
思いっきり振ったら、
当たれば飛ぶというのが、
ほんとに最近、身にしみてきてて(笑)。
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糸井 |
そうですよね。
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宮本 |
うん。だから、
『マリオ』とか『ゼルダ』とか、
シリーズものなんかをつくってると、
だんだんそれが
うまくできるようになるでしょ。
そうすると、だんだんと
「新しいもので思い切り振る」ということが
できにくくなるんですよ。
だから、びびらないようにしてましたね。
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糸井 |
うんうんうん。
あの、シリーズものをずーっとやってると、
自分の中に欲求不満とかも、たまるでしょ。
その、なんていうんだろう、それはそれで、
イヤでやってるわけじゃないけども、
自分のちがう脳ミソを動かしてみたいな
っていう感覚って、ありますよね。
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宮本 |
そうですね、うんうん。
同じノウハウをずっと使い続けてるのってね、
「そのなかで新しいことをやる」
っていうこと自体が、
あんまりたのしめなくなるんですよ。
それがね、やっぱりいまはほら、
ぜんぜん違うことをやってますから。
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糸井 |
うん。
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