糸井 |
やっぱりぼくはゲームで遊んでもらうときに
テレビの前に座らせるというのが
むつかしくなっていると思ってるんです。
だから、大きさや携帯性のことではなくて、
ニンテンドーDSとか
ゲームボーイアドバンスのように
「自分専用のモニターがある」
というのが、いいような気がするんですよね。
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宮本 |
そうですね。
『nintendogs』なんかも、
机の上に置きっぱなしにしておいて
一日中つき合ってもらいたいんだけど、
テレビだとずっと映しとくわけにもいかへんので
やっぱり専用のモニターが
必要になってくるんですよ。
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糸井 |
うん。極端なことをいうと、もっと大きな、
「卓上DS」みたいなものが出たら、
調子にのって買っちゃいそうな気がする(笑)。
こう、両手でパッカンって開けるようなやつをね。
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宮本 |
(笑)
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糸井 |
あの、元アップルの、いまマクドナルドの社長の
原田(永幸)さんが言ってたんだけど、
「コンピューターというのを、
ああいう形をしたものだと
思い込んでいるのがもう、間違いなんだ」と。
コンピューターって、もう、
コンピューターっていう形のものじゃなくて、
どこにでも入り込んでて、
あらゆる場所にあるのが
コンピューターなんだから、
ウインドウズだ、マックだなんていう時代は、
もうすぐ終わるんだっていうのね。
だから、このニンテンドーDSを見てると、
ゲーム機というものの形も
どんどん変わっていくんじゃないかと思う。
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宮本 |
うん、そうですね。やっぱりこう、
「触る」というだけで、
ゲーム機としてぜんぜん違うものになったし。
技術が変わると、製品のイメージも
ぜんぜん変わっていきますしね。
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糸井 |
ニンテンドーDSは、形としてはまだ
これまでのゲーム機に近いけれど、
いずれはもっと違う何かに
なってくんだろうなっていう
予感がありますよね。
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宮本 |
うん、ありますね。
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糸井 |
そのあたり、まあ、
答えはまだ出ないんでしょうけど。
それとも宮本さんには
ちょっとは見えてるんですか?
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宮本 |
うーん、まあ、
最終的にはそうならなかったんですけど、
ぼく、ニンテンドーDSの形を決めるときに、
これ(十字キーとボタンすべて)を
思い切ってなくそうかなと
思ったこともあったんですよ。
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糸井 |
はーーー!
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宮本 |
これ、なかったらいいのにな、って
思った時期もずいぶんあったんですけども。
これだけで割り切れたらええなと。
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糸井 |
それ、あり得たんですかね?
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宮本 |
どうでしょうね。
まあ、アドバンスのソフトも
遊べなくちゃいけないので、
そういう流れを汲んでるあいだは
無理なんですけどね。
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糸井 |
そうかそうか(笑)、これ、
アドバンスのソフトも挿せるんだもんね。
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宮本 |
ええ。まあ、それぐらい思い切れたら
かっこいいなと思ったんですけど。
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── |
でも、そういうことに対してはきっと、
つくり手より遊び手のほうが保守的ですよね。
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宮本 |
ああ、そうよね、うん。
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糸井 |
思い切って十字キーをなくしたら
「なんだよ!? それは!」とか。
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宮本 |
そうそう(笑)。不安になるんでしょうね。
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── |
自分でも言いそう(笑)。
「そこまで新しくしなくていいです」って。
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糸井 |
そういうのは、
とくに子どものほうが保守的ですよ。
つまり、「新しいお父さんに馴染まない」
みたいなことですよ。
お母さんはもう馴染んでるのにさ。
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宮本 |
(笑)
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糸井 |
まあ、子どもが保守的だっていうのは、
当然といえば当然なんです。
つまり、自分の力で生きる手段を
持っていないわけですから。
いままでどおりなら生きていけるものが、
あんまり変わっちゃうと
死ぬかもしれないっていう
不安が出てくるわけですからね。
だから、遊び手が不安になるのは当然ですよ。
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宮本 |
うん、そうそう。
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糸井 |
でも、そのときに、お母さんのほうは、
「こっちのお父さんと暮らすほうが
生きられるのよ!」
って思ってるわけでしょ(笑)?
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── |
で、新しいお父さんが、
魅力的なオモチャとかお菓子とかをくれると‥‥。
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糸井 |
あっという間に馴染んで、
生きていけたりしてね(笑)。
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宮本 |
(笑)
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糸井 |
それって、革新的な企業と
古くからいるユーザーの関係そのものだね。
でも、そういうふうな企業も
いまはずいぶん少なくなってると思うけど。
やっぱりいまは、心配性の子どもと、
「しばらくこのままのほうが
いいんじゃないのかい?」
って言うようなおばあさんが
たくさんいるような世の中だから。
でも、宮本さんが、
ニンテンドーDSをつくりながら
「十字キーやボタンが
なくてもいいんじゃないか」って
思ったっていうことだけでも、
なんか、いいですよね。聞いててうれしい。
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