糸井 |
宮本さんも犬を飼ってるんですよね。
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宮本 |
はい。3年ほどまえから。
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糸井 |
ぼくも去年から飼い始めたんで、
ああ、そういや宮本さんもだなあと思ったら、
妙なうれしさがあったんだよね。
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宮本 |
(笑)
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糸井 |
犬にはほんと、
いろんなことを教わるんですけど。
その、なんていうの、管理しきれないものを、
教える側が勉強してくしかないんですよね。
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宮本 |
そう、そうですよね。
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糸井 |
たとえば『ゼルダ』で
宮本さんが発明したことのひとつって、
「経験値を画面のなかの数字じゃなくて
自分の体内に蓄積する」
っていうことだと思うんですよ。
「自分の脳に経験値をためていく」
っていうのが
『ゼルダ』の画期的なところで、
それをみんなが評価したんだと思うんですけど、
ぼくは、あれがいま、
犬を教えるときに活きている気がするんですよ。
つまり、犬のなかには
経験値なんか増えていかないんですよ。
こっちの経験値が増えていくと、
どんどん犬がいい子になっていくというか。
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宮本 |
そうですね。うん。
ぼくもね、犬になにかを教えるのは
最近うまくなったんですよ。
最初は、娘とか嫁のほうがうまくて。
ぼくはどうしてもこう、
力でいこうとしてたので。
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糸井 |
はー、そうですか。
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宮本 |
わりとしてしまうんですよ、ついつい。
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糸井 |
部下をそうするように(笑)?
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宮本 |
部下も、そうかもしれんけど(笑)。
まあ、それで、しばらくしてようやく、
こう、犬のペースに合わせて
自分が動くというようなことを学んで。
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糸井 |
はいはいはいはいはいはい。
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宮本 |
「犬はこう思ってるのか?」
いうのがわからへんと、
何もわからないですよね。
力でいっても、ダメなんですよね。
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糸井 |
そうですよねー、うん。
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宮本 |
あの、庭なんかもそうでしょ。
やっぱり、草木はね、あの──。
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糸井 |
思うようにならないよね(笑)。
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宮本 |
思うようにならないので。
それで、もう、あの、
何ヶ月前にした失敗が、
いま響いてるとかね。
もう、そういうもんでしょ。
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糸井 |
うんうんうんうん。
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宮本 |
水泳もぼくはなかなかうまくならなくて。
もう、10年くらいやってるんですけど、
力が入ってるうちは、うまくならないんですよ。
そういうので、けっこう、
40過ぎてからいろいろ勉強しましたね(笑)。
その、しばらくゲームばっかりやってたんで、
経験が偏ってたせいもあるし、
40過ぎてから自分のことがいろいろわかってきて
楽しいなと思てます。
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糸井 |
なるほどね。あの、早い話が、
ゲームばっかりをやっていると、
どこを押したらどうなるっていうことを
信じすぎちゃう病気になりますよね。
つくってても、遊んでても。
「Aボタンを押したら跳ねる」ってさ、
誰かが、押したら跳ねる仕掛けを作っただけで。
べつに、マリオってやつがそこにいて
跳ねてるわけじゃないから。
押したら跳ねると信じ込むっていうのは、
ほんとはちょっとおかしいですよね(笑)。
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宮本 |
ちょっとおかしい。うん(笑)。そうです。
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糸井 |
跳ねないときもありますよね、実際は(笑)。
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宮本 |
で、跳ねないときは、
「許せない!」とかなるでしょ。
つくってるほうも遊んでるほうも、
だんだんそうなるので。
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糸井 |
つくるほうも、やっぱりなるんだね。
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宮本 |
うん、なるんですよ、だんだん。
だから、「どうして跳ねないのかな?」って、
考えてみるとおもしろいとかいうふうな
興味にいかないんで。
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糸井 |
うんうんうん。
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宮本 |
やっぱり、ちょっとこう、
リセットの文化から外れた流れで
ものがつくれるといいんですよね。
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