糸井 |
『ピクトチャット』のたのしさに
代表されるんですけど、
ニンテンドーDSっていうマシンは、
その、なんだろう、久々にさ、
「バカを言い合った結果」みたいな感じが、
この遊び全体にありますよね。
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宮本 |
ああ、そうですね(笑)。
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糸井 |
いままでって、何が出てもさ、
やっぱり、利口な印象があった。
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宮本 |
ああ。
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糸井 |
これは久々にね、ちょっとバカ(笑)。
あの、うちの事務所に
『バンブラ』の開発者の人たちが来て、
背広姿で一生懸命演奏して行ったんだけど、
あれもバカでよかったなあ。
こう、すっごい真面目な顔してさ(笑)。
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宮本 |
あれも、もう、つくりはじめてから
5年ほどになるのかな。
ああやって、演奏してみせると、
すっごくウケるんですけど、
「どうやって売ろう?」っていうところで
行き詰まっていたソフトで。
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糸井 |
あれもニンテンドーDSに
うまくはまりましたよね。
なんかこうね、子どもっぽくって大人っぽくて、
なんだか原始的なおもしろさがあるんですよ。
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宮本 |
そうですね。やっぱり、
あえてつくりすぎないというか、
そのまんまでいってるんでね。
そのぶん、こう、不安はすごくあるんですよ。
シリーズもののソフトを
つくってるわけじゃないので。
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糸井 |
だって、遊びの材料を出してるだけだもんね。
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宮本 |
そう。これを、みなさんで遊んでねって
それだけ言ってるわけですから。
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糸井 |
それは、だってさ、宮本さん、
そういうものをつくりたくてつくりたくて、
ずーっとやってきたんじゃないですか。
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宮本 |
そうそう、そうなんですよ!
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糸井 |
ねぇ(笑)。
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宮本 |
いままでそういうものがつくれなかったんで、
ストーリーを書いたりとか、慣れないことを
ずっとやってきたわけなんですよね。
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糸井 |
そうだよね。
いや、これ、大事な話だよね。うん。
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宮本 |
あ、もちろん、
そっちのほうもやりますよ(笑)?
両方やりますよ、両方。
ちょっと得意分野になった
ところもあるので(笑)。
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糸井 |
いやいやいや、そうですよね。
でも、これ、ほかのことというか、
シリーズものもつくりながら、
並行してこういうこともやってたの?
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宮本 |
そうですね。まあ、実際には、
担当のディレクターとデザイナーがいますので、
ぼくはもう、最初の仕様書をつくるという
役割だったんですけど。
ええと、『ピクトチャット』の最初のやつは、
いまもあるかな‥‥(手帳を探る)。
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糸井 |
あ、まだ持ってるんだ。
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宮本 |
うん。なんか、その、ええと、
長い、退屈な会議がありましてね。
それで、「退屈やなあ」と思いながら、
「こういうことかなあ」って感じで
ちょこちょこと書いて‥‥
あ、そうそう、これですね。
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── |
うわ。
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宮本 |
こうやってレイアウトしたものを
渡してつくってもらったら
話がすぐに進むかなと思って。
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糸井 |
これ、いまのまんまじゃない(笑)。
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── |
いきなり完成形に近いですね。
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宮本 |
まあ、こういうものって、
いろんな話をしてると進まないんですよ。
「もっと絵のモードを増やして」とか
「ペンはこうして」とか話してると、
盛り上がってしまうので(笑)。
だから、もう、これでいいから、
ちょっと進めてみよう、と。
まだこのころは画面を4つに
割ってみたりしてたんですけどね。
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糸井 |
あ、ほんとだ、ほんとだ。
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宮本 |
まあ、こういうことができればええねやろ、
っていうので、こう描いて、
で、会議終ったらもういちばんに行って、
「こういうことやりたいんで」って言って
なんか、つくってよ、って(笑)。
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糸井 |
え? このコンセプトがまったく
話し合われてないときに、
もう、この形を思ってたの?
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宮本 |
まあ、「こういうようなことをやろうね」
とは言ってたんですけどね。
やっぱりその、完成形というか、
パッケージが決まってないとか、
さっきの話じゃないですけど、
「そういうことやっておもしろいのか?」
っていう人がいるとか、
あるでしょ、いろいろ(笑)。
だから、もう、描いて渡したんです。
すると現場でも、いろいろ考えていたので
一気につくってしまったんです。
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糸井 |
たしかに、これを文字で書類にしても、
やっぱり伝わんないよね。
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宮本 |
うん、そうですね。あと、まあ、
こういう企画に関わってくるスタッフは、
たいていいつも「やりたがっている」ので、
そういう進めかたができたんです。
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糸井 |
はーーー。
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