糸井 |
十字キーやボタンをなくしてしまおうか、
みたいな話を、宮本さんは
制作の現場でもふつうにするんですか?
|
宮本 |
あ、けっこうしてますよ。うん、それは。
|
糸井 |
ああ、そうですか。いいですねー。
|
宮本 |
その意味では、うちの現場は、
すごく健全に進んでると思いますよ。
|
|
糸井 |
そうすると、どんな会話になるわけですか?
「いやいやいやいや」って、
止められたりするんですか?
|
宮本 |
いや、もうどっちかいうと、
「やりましょうよ!」
みたいな人が多いですから。
「うん、やりましょうよ」って。
|
糸井 |
ああ、最高ですよ、それは。
それでどうなっていくんですか? その話は。
「ほかの人の立場もありますよね」っていうのは、
オトナだから当然わかってますよね。
|
宮本 |
そうですね、うん、それは。
|
糸井 |
たとえばそれを売る人だっているわけだから、
アドバンスのソフトが遊べない
っていうことになったら
「いやー、営業の人は困るでしょうね」
ってことは想像がつきますよね。
|
|
宮本 |
うん。だからもちろん、実際には、
そういうことにはならなかったんですけど、
「これが売れたらつぎでやりましょうよ」
みたいなことは言ってましたね。
|
糸井 |
健全だね。
|
宮本 |
だからまあ、子どもじみたことも言うけど、
きちんと話し合って。
|
糸井 |
はー。その意味ではもう、子どもっぽい話は、
出し尽くすくらいまでしゃべって。
|
宮本 |
ああしたい、こうしたいっていう話は
けっこう出し尽くしてると思うんですけどね。
で、やっぱり、だいたいほら、そういう話って、
最低1年半ぐらい前に準備しとかないと
ダメじゃないですか。
「やりたい!」って言うて
来月売れるかっていうと、
絶対できないですからね。
だから、だんだんこっちもオトナになってきて、
少し早めに考えるようにはなってきてますけど。
|
糸井 |
でもそれ、宮本さんは昔から
そんなふうに言ってましたよね。
「考えたらすぐやりたい!」みたいに。
|
宮本 |
もう、いまでもそうですけどね。
考えたらすぐやりたい。
でもまあ、ものをつくっていると、
「考えたらすぐやりたい」
っていう人が多いほうが、
ぼくは健全やと思ってるんですけどね。
|
糸井 |
ぼくもそう思う。
|
宮本 |
けどやっぱり、それだけじゃ
関係する人に迷惑がかかるので、
ま、少し調整役に入る歳に
なってきたのかなって(笑)。
|
── |
でも、宮本さんはそれを忘れないですよね。
その、実現しなかったことを。たとえば、
「十字キー取っちゃおうか」っていうのは、
考えとしてなくしちゃったわけじゃなくて
どっかに置いてあるんですよね。
|
宮本 |
あ、それはずっと残してある。
そういう話がね、こう、山になってます(笑)。
だから、『nintendogs』なんかも、
ずいぶんいままでに話したことがあるし、
『ピクトチャット』なんかもそうです。
古い話が山ほどある。
|
糸井 |
うん。思えば、
お絵書きソフト的なものっていうのは、
宮本さんはずーっと言ってたことだよね。
|
宮本 |
そうです。もう、ずーっとやってきてて(笑)。
|
糸井 |
しつこく言ってきたよね(笑)。
|
── |
スーパーファミコンでは
『マリオペイント』がありましたし、
64DDでは『マリオアーティスト』の
シリーズがありました。
|
宮本 |
うん。ペンディングになったものもあるし。
ああ、多いですね(笑)。
|
|