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宮本 |
『マリオ』とかのシリーズものっていうのは、
誰にでもわかるというか、
ゲームをしない人が
怖がらないようなソフトですから、
やっぱり必要なんです。
その、ことばで聞いたときに、
みんなが興味を持つものっていうのが、
いま、ゲームにはほんとうに少なくて。
タイトルを言う以外に、
人に興味を持たせる方法がないんですよ。
だから、タイトルを知らない人にとっては、
もう、ゲームが興味のないものになってる。
たとえば、ここ数年でいうと、
「バウリンガル」
(*タカラから発売された玩具。
犬の首に取りつけ、鳴き声を音声分析して
犬の感情を無線で知らせるもの)
とかにぼくはすごく悔しい思いをしてて。
その、「バウリンガル」という名前だけで
いけてるよなって思うんですよ。
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糸井 |
うん、それだけでもうわかるもんね。
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宮本 |
そう。ああいうふうに、
ふつうの人が興味を持つものっていうのが、
最近のゲームにはないよなって、
ずっと思ってたのでね。
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糸井 |
それは、ぼくらが「ほぼ日」で
企画を立てるときも気をつけるところなんです。
コンテンツをつくるときに
ぼくはいつも言ってるんですけど、
タイトルができちゃったら
もう、オーケーなんですよね。
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宮本 |
小説なんかはとくにそうだと思う。
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糸井 |
「坊さん」っていったら、
もう坊さんじゃないですか。
「欽ちゃん」っていったら
欽ちゃんじゃないですか。
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宮本 |
うんうん、そう、ひとことでね、言えるものが。
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糸井 |
逆に、タイトルに集約できないものを
つくるときは苦しいですよね。
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宮本 |
うん。だから、『nintendogs』も、
内部ではずっと『犬』って呼んでるんです(笑)。
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糸井 |
『犬』ですよね、あれは(笑)。
『犬』は、いつ出るんでしたっけ?
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宮本 |
まあ、春ごろには出したいなと思って
やってるんですけどね。
(*このあと、2005年4月21日発売が決定しました)
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糸井 |
ぼくはずっとたのしみにしてるんですけど、
あの、買わないうちから
ぼくがずっと想像してるのは、
「どう飽きるんだろう?」
っていうことなんですよ。
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宮本 |
ああ、そう。そうですね。それ、ぼくは、
「どう飽きささないか」を考えてしまう。
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糸井 |
同じことだよね。
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宮本 |
うん、そこで思うのは、
「とことん飽きないところまでつくる」と
失敗するかな? とか思ってて。
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糸井 |
ああ、そっか。
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宮本 |
だから、「ま、犬だからね」
って言えるような(笑)、
そういう感じになればいいと思うんですけどね。
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糸井 |
ぼくはね、さっき宮本さんが言った、
「机の上に置きっぱなしにする」という
「卓上」っていうことばに
ヒントがあるような気がするんですよ。
つまり、カレンダーが机の上にあってもさ、
飽きたの飽きないの言わないじゃないですか。
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宮本 |
そうそうそう(笑)。そういうことですよね。
だから、ぼくもスタッフに、
「飽きてもいいけど、遊んだ人が
『人にあげたくない』と思えばいいから」
って言ってるんです。
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糸井 |
そうそうそうそうそう。
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宮本 |
「家に置いときたい」って思えばいい。
こういう言いかたはなんですけど、
中古屋さんに売りにいきたくなくなるようなね、
そういうものになっていればいいと思うんです。
遊び手の気持ちとしてね。
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糸井 |
だから、いままではさ、その、
なんかおもしろいものをつくったとしても、
作品とそれを買った人が対決してないと遊べない
っていう感じじゃないですか。
「どうなんだ?!」みたいな。
そういうやり取りはさ、
勘弁してくれよってところもありますよね。
その意味で、「卓上」っていうことばを、
宮本さんから聞いちゃったら、
そうとうなんでもありになるよね。
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宮本 |
うん。だから、こう、ゲーム機に
触らずに遊べるぐらいがええよな、
とか言うてるんですけどね。
「Touch! DS」とか
キャンペーンやってるのに、
こんなこと言うのもなんですけど(笑)。
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糸井 |
あの、うちに、「今日も金魚は」っていう
ただただ金魚が映っているだけっていう
コンテンツがあって、
けっこう人気があるんですよ。
ところが、最初は、人気がなくてね。
金魚の水槽のガラスを掲示板のようにして
メッセージをつけたりしてたんだけど、
どうやっても不人気だったんです。
ところがあるとき、原点に戻って、
ただただ金魚を映すっていうだけにしたら
なぜかみんなが観るようになったんですよ。
ま、ひとつだけコツがあって、
水槽の向こうに、働く自分たちを
見えるようにしたんです。
だから、ときどき、人が見える。
どっちにしても観るだけのものなんですが、
あれこれ工夫してたときよりも、
格段に人が観るようになったんです。
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宮本 |
ああ、それはぼくが思ってるものに近いですね。
なんか、1日1回は電源を入れよう
っていうふうに思うような、
ちょっと寄っていくっていう感じ。
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糸井 |
そうだね。
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宮本 |
そういうものを目指していかないと、
クリエイティブにはならへんのでね。
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糸井 |
それは、昔からずっと考えてたことですよね。
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宮本 |
うん。ずっと変えたいなと思ってた。
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