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糸井 | 清水さんのモノマネを似てるとか、 似てないとか、ダンナさんは言わない? |
清水 | 言わないですね。 似てるとも言わない。 |
糸井 | つまり、大きく言えば、 仕事の話はしないってことですね。 |
清水 | そうですね、うんうん。 |
糸井 | それはうちもそうなんですよ。 まったくしないんですよ。 訊かれたりすれば言うかもしれないんだけど、 でも、1年に1ぺんもないね。 |
清水 | へぇー。 |
飯島 | へぇー。 |
糸井 | ない。 あとオレがやってる仕事についても 訊かれない。 社員に対してのほうが よっぽどいろんなこと言ってる。 |
清水 | ふーん。 ああ、そうかそうか。 三谷幸喜さんのところも お互いの作品を見ないし、 批評っていうかね、 感想を言い合わないそうですよ。 |
糸井 | いや、わかるわ、それ。 |
清水 | わたしの周りのプロの料理人で 家に入るともう料理したくない、 って人多いですけど。 |
飯島 | ほんとですか。 |
糸井 | 飯島さんは、つながってますよね。 |
飯島 | そうですね。 |
清水 | すごーい。 |
糸井 | 板前さんとか男の料理人さんって 家でもやってますって人、 ものすごく多いですよね。 |
飯島 | つくるものがちがうんでしょうね。 仕事ではこういうのをつくりたいというのと、 趣味ではこういうのをつくりたいというのが、 ちがうかもしれないです。 和食の人はアウトドアクッキングとか すごく好きな人がいたりします。 |
糸井 | 趣味でモノマネしないよね? あ、するよね! |
清水 | するよ! |
糸井 | するんだ! |
清水 | そんな怒ることないじゃん。 |
糸井 | するねぇ! なにがちがうんだろう。 商品と商品じゃないものか。 |
清水 | でも、わたしが好きな人は みんなも好きな人だし、 まぁ、公の人が多いからじゃないですかね。 芸能人が好きだから。 |
糸井 | 学校の先生のモノマネっていうんじゃないもんね。 |
清水 | 学校の先生に 憧れの人がひとりいたんですけど、 そのときは、 みんなの前でやらなかったですね。 |
糸井 | ぶふふふっ。 憧れの先生のモノマネ。 |
清水 | 自分の部屋でやってました。 アサダ先生によくなってました。 |
糸井 | すっごいなぁ。 『ガラスの仮面』みたいですね。 |
清水 | ぷっ(笑)。よく言えばね。 |
糸井 | セーラー服着た子がさ、 誰もいない部屋に入ってさ、 先生のモノマネ! 勉強してるかと思ったら、 また先生のモノマネ! |
清水 | だって好きなんだもの。 でも、みんなやってるかと思ってたからね。 わたしは。 |
糸井 | 国民全部ね(笑)。 |
清水 | うん。 でも、負けませんからね、その日が来ても。 |
糸井 | 飯島さんだって、もともとは 好きではじめたことだからね。 |
清水 | ちっちゃいころからお料理好きでした? |
飯島 | そうです、好きでした。 最初はママレンジっていうの買ってもらって。 |
清水 | あ! 持ってました。 |
飯島 | それで、褒められてすごい好きになって。 |
清水 | 持ってなかったでしょ、男子。 |
糸井 | ふふ。 うまくいかない料理っていうの つくっちゃうことあるんですか? |
飯島 | あります、あります。 |
糸井 | その時は、やっぱり 近寄れないような人になるの? |
飯島 | あ、ぜんぜんそんなことないです。 大丈夫です。 ま、これはこれ、みたいな感じで。 |
糸井 | 清水さんはいかがですか。 まずくできちゃったら。 |
清水 | 料理とかはぜんぜん平気です。 |
糸井 | ぼくは落ち込むんです。 ただ焼きそばぐらいでも、 食べてる最中とか、さびしい。 |
清水 | 食べなきゃいけないからねえ。 |
糸井 | 食べなきゃいけないし、あと‥‥ このあいだ犬に取られたチキンって、 フライパンの上で3分っていうのを、 そんなところまでまじめにやっちゃって、 強火で3分っていうのをしたら、 焦げたんですよ。 その焦げちゃったのを、 かみさんがいない間だったんで、 取ったりしてるときに、 もういっそやり直そうかな‥‥とか。 でも、その焦げてる皮を はがしてるとき、かじったら、 すでにうまかったんですよ。 だから、いいんだこれは、 このくらいの面積はなかったことにしよう、 と思って、ごまかした。 でも、あの一瞬はほんとに悲しかったです。 |
清水 | 飯島さんのレシピっていうのは、 自分でつくりだしたんですか。 |
飯島 | そうですね。チキンとかも、 ヨーグルト入れたら柔らかくなるかなとか、 どうかなとか、想像したものを試してみて、 もうちょっとこうしようかなって どんどん変わっていくんです。 それを突き詰めていくみたいな。 |
清水 | それを逆算してレシピにしていくわけですね。 文字にしていく過程はたのしくないでしょ。 |
飯島 | いえ、けっこうたのしんでますよ。 |
清水 | ほんと? |
糸井 | すごいよ。 |
飯島 | 肉団子ひとつにしても、 まずみんながつくりやすい300グラムで 一回、途中までやって、 ここからパン粉を半分は2分の1カップ入れて こっちは4分の1カップ入れてみよう、みたいな。 で、食感を試してみて、あ、こっちのほうがいい ってなると、勝ち残り戦みたいに。 ちょっと入れ過ぎたかもしれないから、 じゃあ今度は3分の1にしてみよう、っていうのを また今度やったときに、同時に前によかったのも、 同時につくって、同時にまた食べて。 |
清水 | へぇー! |
一同 | へぇー。 |
糸井 | その夜に来ればいろいろ食えるんだよ。 そういうときにさ、 ちょっと電話してもいいよ。 |
清水 | あはははは。 |
糸井 | あっ! オレ今日とりつける日だった! 忘れてた! |
── | とりつけ? |
清水 | 鶏を漬けるほうね。 |
糸井 | ヨーグルトを入れた漬けダレに 漬けておくってことを、今日する日だ! つまり、それのつもりで、 今日用に買った鶏がある! あるんだ! |
一同 | (笑) |
清水 | そんな(笑)。 それ心で思って。 口に出さないで(笑)。 |
糸井 | ‥‥だって、 オレの中では‥‥。 |
清水 | ものすごく大事なことなのね。 |
糸井 | うん。 |
清水 | わかる、わかるけど。 ほぼ日手帳つけてる? |
糸井 | つけてる。 でも、鶏漬けるのは書かなかった‥‥。 |
清水 | (スタッフ席に)ねぇ、 そのコーヒーゼリーって余ってるの? |
── | はい、余ってます。 |
清水 | もらっていい? |
糸井 | お持ち帰りですか。 |
清水 | 食べるんです。 いい、もらって? |
飯島 | どうぞ、もちろんです。 |
糸井 | 強欲な女だねぇ! (このあと、なぜか糸井重里が 「前川清とクール・ファイブ」を 強く清水さんに薦めますが、 あまりに長いので割愛します) |
糸井 | オレ、一ヶ月後ぐらいに また清水さんに会いたいな。 |
清水 | うんうん。 前川清さん、たぶん聴いてみると思う。 |
糸井 | 「あのときに、あれ聴いて わたしはあのときはうなずいてたけど、 なに言ってるんだ、このおやじは と思ってたのよ」と。 |
一同 | (笑) |
清水 | それ、想像シーンですかね。 わたしの。 |
糸井 | 「ところがあのあとわたしは、 廃盤になっちゃいそうだって聞いたんで、 5枚買ってみんなに配ったわよっ」 |
清水 | 自分のモノマネはじめて見ましたけど、 そんなですか。 「わよっ」ってこう(笑)。 |
糸井 | 都家かつ江みたいになっちゃた。 |
清水 | あたしゃね。 |
糸井 | 内海好江みたいになっちゃった。 |
清水 | はははは。 そんなですか! (おわりまーす!) |
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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN |