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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-10-17

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・今回、前橋BOOK FESのことを広報しているときに、
 ちょっと冗談っぽい比喩を使いました。
 「本を送ってください」と、強くお願いする時期でした。
 まず、前回はなんとかなりましたが、
 今回もうまくいくとはかぎりません、と。
 前回よりもっと人も来てくれるんじゃないかと
 楽観する意見もありますが、ぼくは心配してます、と。
 人が仮にいっぱい来てくれるにしても、
 本がいっぱいあるブックフェスにやってくるんですよ、と。
 なのに、本がなくなっちゃったら、どうすんですか、と。
 つまりそれは、「流しソーメン」にたくさんの人が来て、
 ソーメンが流れてこないってことですよ、と。
 「ソーメンの流れない流しソーメン」というイメージは、
 じぶんで言ってても、ぞっとしました。
 大変なことになるぞ、がんばらなきゃと思いました。
 みんなも、ほんとうに手を尽くしてがんばったのでした。
 おかげさまで、本は推定で50000冊くらい集まりました。
 ソーメンは、あります!流れます!来てください。

・なのですが、あたらしいテーマができました。
 フェスに並んでいる本を、「無料で持っていっていい」
 ということになると、実際やってみたら、
 なんだか変な感じになるのではないか? 
 いまの世の中、ほとんどのものが商品として並んでいます。
 それをお金を払って(交換に)持って帰りますよね。
 お金を払わないで黙って持って帰ったらドロボーです。
 今回の「無料」のブックフェスは、状況としては、
 それとそっくりに見えてしまいそうです。
 ちがうのに!ほんとに無料なんだから!

 どうやら、「黙って(持って行く)」というのが、
 人の気持ちを不安にさせるんじゃないかと思ったのです。
 「これ、持って帰ります」とか「ありがとう」とか、
 そばにいるスタッフにちょっと声をかけるようにしたら、
 「はい」でも「よかったです」でも「ありがとう」でも、
 気持ちよく「フリー」の場を体験できるような気がします。
 「もっと会話もしたかった」と前回も言われましたっけ。
 そこらへんのこと、今回はトライしてみませんか。
 コンサートでも拍手をするように、ここで話をしましょう。
 それだけで、ずいぶんと気持ちよさが増えると思うのです。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「無人販売所じゃないんだから」と、また冗談を言ってます。


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