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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-09-18

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・敬老の日に、ちょっと思い出したことがあった。
 50歳になって間もないころだったかなぁ、
 本格的な占いをしてくれるという人が、
 ぼくの運勢を調べてくれることになった。
 たぶん四柱推命という種類の占いだったと思う。
 結果は、まぁ、いまがとんでもない不運の時期である、と。
 どういうことばで表現されていたのか忘れたが、
 ある時代に流行していた「天中殺」みたいなことだった。
 なにやってもダメで最悪の時期が続くという。
 たしか、「ほぼ日」をはじめたばかりのころだったから、
 「えーっ、ダメなのか」とやや淋しい気持ちになった。
 大きい不運の時期もあり、中くらいの不運もあって、
 もうずうっとぼくの運気は悪いということらしいのだ。
 あまりに最悪であることを知ると、落ち着いてしまう。
 さんまさんの「生きてるだけでまる儲け」みたいな感じ。
 実際、ぼくはそれほど不運を感じてなかったし、
 それなりに元気でやれているのだから、大丈夫だと。
 それに、永遠に運が悪いということでもなかろう。
 「いつごろ、よくなりますか?」と質問した。
 期限のある我慢ならしようじゃないかと覚悟してのことだ。
 その答えのほうがインパクトがあった。
 「この不運を抜け出すのは、65歳ですね」と。
 いやぁ、これにはまいった。
 ぼくは、すでに50そこそこで若くはなかった。
 それから、さらに15年も生きて65歳って、もう、
 そこから後の「のびしろ」がないじゃないか。
 占ってくれた人は、慰めるでもなく励ますでもなく、
 たんたんと「占いの結果」を言ってくれただけだった。

 50歳くらいのときが、人生の最悪の運気の時期で、
 しかもそれが65歳まで続く、とか言われたら、
 あなたならどうしますか、落ち込みますか? 
 たぶん、こんな経験をした人はあんまりいないだろうなぁ。
 ぼくは、「いちばん悪いのがこれなら、しょうがない」と
 じぶんの都合のいいように考えて、そのまま生きていた。
 いつの間にか、ずっと先だと思っていた65歳にもなって、
 それからさらに、もう10年以上も時が過ぎている。
 せっかく、65歳からは運気があがっているのだったら、
 それに合わせて元気にがんばってみたいものだと思うが。
 これって、極端な遅咲きってことなのだろうか。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
お世辞をいう体重計によると、体力年齢は55歳らしいです。


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