感心力がビジネスを変える!
田中宏和が、
感心して探求する感心なページ。
今シリーズの感心力は、5月10日(月)─5月31日(月) の
11:00─19:00(日祝日は休館・土曜は18:00まで)に
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催される、
(中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル tel:03-3571-5206)
『佐藤卓展』を、存分にたのしめるような特集をおとどけ!

「佐藤卓展・第2会場」として、展開してゆくんですよー。
(詳しい情報は、こちらGGGギャラリーのサイトでどうぞ)



第十四回
デザインの未来について



佐藤 人間が、対象を見て、
生き物か生き物じゃないかってことを
即座に判断できる人間の目の能力って
やっぱりすごいらしいんです(笑)。
田中 まだわかってない人間の能力って、
多いんでしょうねえ。
見えてないと思っているものが、
実はきっと見えてるはずなんでしょうね。
人間の眼の解像度があがることで、
急に見えはじめるものってありそうだ(笑)。
佐藤 そうそう。
実はものすごい情報量を、
人間は瞬間的に処理するわけでしょう。
だから、ロボットなんて、
人間に比べたらとても稚拙なレベルらしいですね。
人間のかたちをさせて歩けても、
未来をわかりやすくしてるだけで。
ああいうかっこうにさせるから、
なんかすごく進化したみたいに見えるけども、
感情移入をしてもらうために、
人間のかたちをしているらしいです。
田中 「ロボットらしい」かたちのほうが、
SF映画とかで慣れてますしね、
うれしいんですよね、きっと。
人間のことも、よくわかってないから、
デザインで、
認知科学だ、アフォーダンスだ、
みたいな話しても、
結局とどまるところが無いですよね(笑)。
佐藤 だから、面白いですよ。
デザインって、これからのほうが、
もっと面白くなるって、
絶対そうだと思いますよ。
“あ、そうだったのか!”ってわかることが、
いっぱいあるはずですよね。
わかってなかったんだけど、
自然に20世紀にやっていたことがね、
21世紀に、
“あ、こういうことだったのか!”って、
わかることがあるんじゃないかと思うんですよ。
田中 そういう意味でも、
長生きはしたいですよね(笑)。
佐藤 長生きしたいですよね(笑)。
田中 佐藤さんのデザインのベースに
しっかりとした好奇心が根をはっているから、
さらに掘り下げようという
科学への関心も深まりますよね。
佐藤 うん、好奇心しかない。それしかない。
田中 まだ見えないものをデザインするであったり、
未来のデザインみたいなところまで、
普通なかなか考えが及ばないと思いますよ。
佐藤 いやー、どうなんだろうね。
考えはじめると、
このまま、今のこの仕事のやり方を、
なんでずっと続けなければいけないのか、とかね、
そういうところに考えは至っちゃうんですよ。
田中 自分の仕事に関する好奇心が
出てきたってことですよね(笑)。
佐藤 そうそう。
“自分のやってることは、
いったい何だったの?”っていう、
その確認とかね、したくなるんですよ。
で、そうすると、
それからまた新しい何かやり方とか、
あるかもしれないし。
もっと別のぜんぜん違う、
人とのつながりや、
世の中でのデザインの生かし方が
あるかもしれないし。
なにを守るつもりもさらさらないので。
田中 ふつうなら安泰として、
守りに入っても誰も文句を言わないような、
佐藤さんのような立場の人が、
そういう過激さで、
ご自分の仕事について考えつめていらしゃるのが、
おもしろいというか、
頭が下がるというか、
自分自身を引き締めたくなりますよ。
佐藤 「ほぼ日」を見ている若いデザイナーって
多いと思うんですけど、
いつまで経っても、
デザイナーって、つねに、
なんか考えてるものなんですよ。
「いったいデザインって何なんだろうか」
ってことを、考え続けるんです。
今までって、ある程度、巨匠になっちゃうと、
“あの人のデザインのお話を聞きましょう”
みたいになっちゃうじゃない?(笑)
で、そうじゃなくて、
“もう、悩んでんだよ!”って言いたい(笑)。
もう毎日「ほんとにこれでいいのか?」って、
考えてるんだ、って伝えたい。
「でも、それはもうずっと続くんだぞ」って、
「でも、それが醍醐味なんだぞ」っていうように、
若いデザイナーに伝えたいですね。
田中 デザイン自体が、
発見を宿命づけられた行いということですね。
発見力、大事ですね(笑)。
佐藤 発見力、重要ですよね。
いろんな方が言っているように、
デザインはやっぱり見つけることではじまりますし、
見つけ続けるということをしないと
自分も面白くないんですよ。

ワンポイント考察

「デザインって、これからのほうが、
もっと面白くなる」
この確信が、
佐藤卓さんの強さのような気がしました。
このフレーズに
「デザイン」ではなく、
みなさんの仕事を代入してみてください。
たとえば、
「遠洋漁業って、これからのほうが、
もっと面白くなる」とか。
これ、「林業」ならどうだろうとか、
「野球」はどうだ、「レースクイーン」は、とか、
他人の職業を入れてみても、
いろいろ見えてきますねえ。
仮に「タイピスト」と入れると、
やはり違和感が出てしまうわけで、
このフレーズ、
その仕事ジャンルとしての成長性と、
自分のその仕事への意欲を写し出す、
リトマス試験紙になりますね。

佐藤卓さんの
仕事に対して面白がれる力とか、
果てなく増殖する好奇心とか、
発見へのどん欲さとか、
デザイナーだけでなく、
働くひとすべてに楽しんでいただけたなら、
この佐藤卓展第2会場としては、
本望でありました。
ということで、
この会場もここらでひと区切りです。
ご来場、どうもありがとうございました。

また、次の感心でお会いしましょう。

ワンポイント情報!

佐藤卓さんの個展がはじまりました!
月曜日から土曜日まで、
銀座のGGGギャラリーにて、開催。
ずいぶん長い間、雑誌のように味わえる──
実際に出かけていった感想も、
うかがいたくなっちゃうような個展なんです。

「さっそく初日に出かけたら、佐藤さんに会った!」
と、うれしさを表明するメールも、いただいています。
↓今日は、こちらの動画をアップ。
「おいしい牛乳」の回です。
(写真をクリック!)



↑また、非常に美しいこの立体についての会話も、
 収録してまいりましたので、動画でぜひどうぞ。
(写真をクリック!)


1つのガムが幾重にも重なって見える
アクリルの透明な四角柱を、まるく削って、



 こんなふうに美しくしあげることができるんです。
 回転すると、見え方が変わりますよー!

 もしも、ご希望の方がいらしたら、
 現在、四角いアクリルのなかに入っている
 クールミントガム(初期のデザインバージョン)を、
 実費・15万円(税別)にて、おゆずりいたします。
 postman@1101.com
 ご希望の方は、こちらのメールアドレスに、
 電話連絡先を添えて、件名を
 「佐藤卓さんアクリル」として、ご連絡くださいませ。
 ワンポイントお知らせ、でした!


いままでの佐藤卓展第2会場
2004-04-19 「佐藤卓展・第2会場」が、スタートします!
2004-04-23 第一回 問題を隠すデザイン、解決するデザイン
2004-04-26 第二回 自分を壊さなきゃデザインはできない
2004-04-30 第三回 デザインにメッセージを埋めこむ
2004-05-03 第四回 デザイン力が日常を変える
2004-05-07 第五回 デザイナーは医者であり翻訳者
2004-05-10 第六回 自分を消すデザイン力
2004-05-12 第七回 「ご飯が食べれてるぞ感」の正体力
2004-05-14 第八回 デザインの値段と価値は、どう決まる?
2004-05-17 第九回 魅力の分析をする科学としてのデザイン
2004-05-19 第十回 唾液を出させるデザイン
2004-05-21 第十一回 美の基準が唾液の邪魔をする
2004-05-24 第十二回 特殊を普遍につなぐマスプロダクト
2004-05-26 第十三回 カラー書類のつくり方!

2004-05-28-FRI

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