ほぼ日ハラマキ PRESENTS しょうがの お勉強。
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高知・しょうがシロップの旅 編
ふたたび、しょうがシロップレシピ編  その21  イトイ式── しょうがシロップのレシピ Ver.2

しょうがファンのみなさん、ほぼにちわー!

今回の「しょうがのお勉強。」では、
「糸井重里によるしょうがシロップのつくりかた」の
最新バージョンをご紹介いたします。
いくつかの改良が加えられた、イトイ式しょうがシロップ。
レシピ・バージョン・ツー!

とはいうものの、
基本的なつくりかたは、そんなに大きく変わりません。
あれから何度もしょうがシロップを
つくり続けている糸井重里が、
「最近はもうちょっと、こうしている」
というポイントをいくつかお伝えしながら、
あらためて、たのしく、
しょうがシロップのつくりかたを
ご紹介していく次第です。

例によって、おしゃべりを重ねながらの
長い長〜いレシピになりますので、
つくりかただけを手っ取り早く知りたいかたには
シンプルなレシピをご用意してあります。
こちらをどうぞ。

また、今回はじめてこのページをご覧になるかたは、
ぜひバージョン1のほうもご覧になってくださいね。
どちらも参考にして作っていただき、
お好みの味を探すのがよろしいかと思います。

さあ、それではまいりましょう。
キッチンルームの糸井重里です。

──── よろしくお願いします。
たのしく、それでいて真面目にまいりましょう。
よろしくお願いします。
 
1.真面目に洗って皮をむく。
まずは、しっかりと手を洗います。
きょう手伝ってくれるみなさんも洗いましたか?
──── はい。
石けんで?
──── はい。
たいへんけっこう。
では、しょうがを水で洗いながら、
真面目に皮をむいていきましょう。
──── 今回もたくさんのしょうがを用意しました。
ああ、たくさんありますね。
この工程がいちばんたいへんかもしれません。
ほんとうに地道な作業なんです。
ひとつひとつ、こうして皮を‥‥。
──── その、しょうがをこすっている銀色のものは?
アルミホイルでしょうか。
そうです。
アルミホイルをひとつかみ、くしゃっと丸めて
それでしょうがをごしごしとこすれば、
比較的らくに皮をむくことができます。
これはしょうが好きのあいだでは
けっこう有名な工夫だと思います。
──── ほんとだ(アルミホイルでやってみる)、
これだと皮をうすくむくこともできる。
でも、この量ですから、
それでもたいへんなんです。
アルミホイルが届かないところは、
けっきょく包丁をつかいますし。
どうしても苦労が多い工程になります。
──── つまり、
しょうがの皮むきに王道なし。
いったいどうしたんですか、
珍しくいいことを言いましたね。
その通りです。
ゼアリズ ノット ロイヤルロード、です。
──── はい。
きょうはこのつらい作業を
みなさんが手伝ってくださるとうかがいました。
ほんとに甘えてよろしいのでしょうか。
──── おまかせください。
ありがたいです。
いつもぼくはこの作業を、
ひとりで黙々とやっているんです。
──── たしかに、これはたいへん‥‥。
(みんなで皮をむき続ける)
おつらいでしょう、みなさん。
‥‥つらい作業には、歌を。

♪人の気も 知らないで〜〜〜
──── 明るい歌ではないのですね‥‥。
『人の気も知らないで』。
戦前の日本人に最も愛されたシャンソン、
淡谷のり子さんの歌です。

♪人の気も知らないで〜〜〜
 つれないあの人〜〜
──── ありがとうございました。
歌のおかげで、スムーズに皮がむけました。
みんなでむくと早いですね。
今回も、900グラムでつくりましょう。
「皮をむいた」しょうがで、900グラムです。
──── はい。
ちなみに、むいた皮は捨てずに集めて、
「しょうが風呂」に使うとすごくいいと思います。
 
2.しょうがを切る。
次に、しょうがをスライスします。
かつては3〜4ミリに切っていましたが、
きょうは、もっとうすくします。
つまり、表面積を多くすることで、
しょうがの成分をたくさん
シロップのほうに出したいのです。
──── なるほど。
具体的には、何ミリくらいに切りましょう?
1〜2ミリで。
イメージとしては
お寿司の「ガリ」だと思えばどうでしょう。
このくらいです。
──── しょうがの繊維に対して、
垂直に切ってますね。
繊維に沿うようなスライス、ではなく。
うーん‥‥。
そのことはいつも考えるんですけど、
答えがみつかってないんですよ。
だからいまは、
「どちらでもいい」と申し上げておきます。
──── どんな向きでもいいので、
1〜2ミリのスライスにする。
それでいいと思います。
‥‥うすく切るということは、
それだけ仕事量が増えるということです。
つまり、この工程もかなりたいへんなわけですね。
ここも、みなさんに甘えてよろしいのでしょうか。
──── はい、おまかせください。
ありがとうございます。
それではぼくは、
歌で応援させていただくということで。

♪逢えなくなって〜 初めて 知った〜
 海より深い〜 恋ごころ〜
♪こんなにあなたを 愛してるなんて〜
 あああ〜 あああ〜
 鴎(かもめ)にも わかりはしない〜〜
えー、お届けしているこれは、
『再会』という歌です。
歌手は松尾和子さん。

では、2コーラス目を歌います。

♪みんなは悪い ひとだというが〜
 わたしにゃいつも いいひとだった〜
♪小っちゃな青空 監獄の壁を
 あああ〜 あああ〜
 みつめつつ 泣いてるあなた〜〜
──── (まばらな拍手)すごい歌でした。
つらい作業には、歌を。
ぜひみなさんもおためしください。
──── しょうがシロップのレシピの中に、
「歌を歌う」という項目を加えておきますか。
それは、要りません。
どうか真面目にお願いします。
──── 失礼しました。
‥‥ところで、スライスが終わりました。
前回はこのスライスを
水洗いしているのですが‥‥。
今回、それはやらなくて大丈夫です。
それをやらなくても
おいしくできることがわかってますので。
 
3.きび砂糖といっしょに土鍋に入れる。
しょうがシロップは最近、
土鍋でつくっていますので
ここでも同じようにしようと思います。
ベア1号に、
スライスしたしょうがと、
きび砂糖を入れていきます。
──── きび砂糖を使うのは前回と同じですね。

どんな砂糖でも、
それぞれにおいしいと思いますが、
ぼくはきび砂糖がちょうどいいと思っています。
──── ‥‥今回は、
砂糖としょうがを混ぜないのでしょうか?
こんな感じで大丈夫です。
今回は長い時間、このままにするので。
 
4.スパイスを準備して加える。
──── スパイスの種類は前回と同じで、
左からベイリーフ(月桂樹)、
シナモン、クローブ、カルダモンですね。
はい。
クローブとカルダモンは、
ホールのものをご用意ください。
──── それぞれの、量は?
ベイリーフは、2枚。
シナモンは適量でいいんですが、
このスティックなら1本半くらいかな。
手で軽く割っておいてください。
クローブは、3個。
カルダモンは、5個入れましょう。
カルダモンは皮をむいて、
中にある、つぶつぶだけを使います。
このスパイスをぜんぶ、
お茶用のパックに入れて‥‥。
しょうがときび砂糖の中へ、
埋めるように入れておきます。
 
5.ひと晩、放っておく。
‥‥はい、きょうはここまで。
──── きょうはここまで。
このままひと晩、放っておきます。
──── なるほど。
じゃあぼくは、
生のしょうがスライスを
つまみ食いしながら帰るとします。
‥‥くうぅ、辛ぇなぁ!
(時間経過)
──── お疲れさまです。
本日も引き続きよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
けっきょく、24時間放っておきましたね。
どうなっているかというと‥‥。
こうなっています。
──── しょうがから水がたくさん出ています。
じつはきのうの夜、
こっそり見にきたんですが、
あれから7時間後にはもう、
ほぼこんな具合でした。
つまり24時間待たなくても、
ひと晩放置すればだいたい大丈夫というわけです。
──── なるほど。
ちなみに、砂糖で水を出すこの方法は、
ジャムづくりの応用なんですよね。
それを言ってくれてありがとうございます。
そうです、
これによって、しょうがの成分が
出やすくなるんじゃないかと思っています。
 
6.水とレモンを加えて煮込み始める。
──── 前回はここに500ccの水を加えていますが、
今回はどうしましょう?
‥‥いまからけっこう大事なことを言いますよ。
──── はい。
水の量は、じつはどうでもいいんです。
500ccでも1リットルでも、かまわない。
なぜか‥‥?
けっきょくは、
あとで飲むときのうすめかた次第だからです。
濃くつくれば、たくさんうすめて飲みます。
うすくつくれば、あまりうすめずに飲みます。
だから、ここでの水の量は
厳密なことを気にしなくても大丈夫なんです。
──── なるほど。
というわけで、
このまま火をつけてもいいのですが、
「焦げつかないようにするために」
という意味で、水を入れることにしましょう。
前回と同じ500cc入れます。
さらに、レモンの絞り汁も、入れます。
半個ほど。
じゃあ、火をつけましょう。
土鍋の場合は弱火からゆっくりと
沸騰までもっていきます。
‥‥あとはもう、歌うくらいしかないんです。
──── そうですか。
ええと‥‥じゃあ、きょうは、
みなさんもご存じの歌にしましょう。
──── ありがとうございます。
♪別れた人に会った〜
 別れた渋谷で会った〜
 別れたときとおんなじ 雨の夜だった〜
♪別れても〜 好きな人〜
 別れても〜 好きな人〜
──── (まばらな拍手)沸騰してきました。
 
7.アクを取りながら、40分煮る。
沸騰してから40分、弱火で煮ます。
ていねいに、アクをとりながら。
──── ‥‥このしょうがは、
ずいぶんたくさんアクが出ますね。
ほんとだね、これは多い。
ほとんどアクが出ないのもあるんだよ。
いろいろなんだね、しょうがも。
──── 沸騰してからは、
鍋のそばにいたほうがいいようですね。
そうですね、焦げないように、
ときどきかきまぜてあげながら、
ちゃんと近くで見ていてあげましょう。
油断は禁物です。
メールチェックとかも、いけません。
40分、ここに集中しましょう。
──── はい。
♪別れても〜 好きな人〜
 別れても〜 好きな人〜
──── ‥‥‥‥。
(このまま40分、様々な歌がキッチンに響く)
 
8.漉しながらシロップを容器に入れる。
♪できた できたよぉ〜
 しょうがのぉ 汁がぁ〜(演歌風)
──── あれ? 今回はここでもう、
シロップが完成なんですね。
前は、ここから室温まで冷ましましたよね。
最近はそれをやめているんです。
「煮物の基本」と同じように考えていたのですが
どうもそれだと、
一度しょうがから出た成分が
またしょうがに戻ってしまう気がしたので。
──── なるほど‥‥成分がまた、しみ込んでしまう。
なので、まだ熱いうちに
スライスを取り出して‥‥。
熱湯消毒したビンに、
シロップを移していきます。
──── ああ〜、いい香りですねえ。
‥‥あ。
──── 香りにつられて、やってきたひとたちが。
そういうひとには、
味見をしてもらうといいと思います。
──── そうですね。
どうぞ、お飲みください(ふるまう)。
──── おいしいですか?
え? 辛い?
そうでしょうそうでしょう。
え? 辛いけどおいしい?
そうでしょうそうでしょう!

あー、また、香りにつられたひとが。
そのひとたちにもシロップの味見を。
それと、
茹でたてのしょうがスライスも
つまんでいただくといいです。
──── どうぞー。
ほかほかで、辛くて、あったまるよー!
みなさん、よろこんでますか?
──── もちろんです。
なによりです。
ひとまず、しょうがシロップの完成。
‥‥それにしても、
これだけ手間をかけて、
このくらいのビンに3本なんですよねえ。
飲むのはあっという間なんですよ‥‥。
3本のしょうがシロップと
じゃっかんの哀愁を残し、
糸井重里はサッと姿を消したのでした。
9.しょうがスライスを干す。
ここでまた、時間が経過します。
翌日の糸井重里事務所。
ご覧のように、
しょうがスライスを天日にあてました。
3時間ほど天日にあてた、
半乾きの状態で、干すのをやめます。
このまま食べても、かなりおいしい!
 
10.グラニュー糖にまぶす。

ここからのレシピは前回と同じ。
バージョン1をぜひお読みくださいませ。


半乾きのスライスにグラニュー糖をまぶします。
ザルのスライスをボールに移し、
適量のグラニュー糖をまぶしたら、
もう「しょうがスライス」の完成!
おいしい?
おいしいでしょう?
というわけで、
イトイ式「しょうがシロップ」と
「しょうがスライス」のレシピ Ver.2は、以上です!

ぜひぜひ、おためしくださいねー。
しょうがーーーーー。
イトイ式 しょうがシロップ、
レシピ Ver.2

(しょうが900グラムの場合)

【材料】
 しょうが:約900グラム
 きび砂糖:約900グラム
 レモン:1/2個
 水:適量(500ccくらい)
 ベイリーフ(月桂樹の葉):2枚
 シナモン:適量(スティックなら1本半ほど)
 クローブ(ホール):3個
 カルダモン(ホール):5個

【つくりかた】

1.しょうがをよく洗い、皮をむく。
2.それを1〜2ミリにスライス。
 (繊維に対して垂直に切るか並行に切るかは
  お好みで)
3.鍋(できれば土鍋)に、
  切ったしょうがと同量のきび砂糖を入れる。
  それほどよく混ぜ合わせなくてもOK。
4.スパイスの準備をする。
  カルダモンは皮をむいて中のつぶを使用。
  シナモンは適当な大きさに手で割る。
  ベイリーフとクローブはそのままで。
5.準備したスパイスを不織布のお茶パックに入れ、
  しょうがときび砂糖の中へ埋めるように投入。
6.そのまま一晩おいておく。
 (しょうがの水分が出てきます)
7.翌日、鍋に500ccの水を加える。
8.レモンを半個しぼって鍋に入れる。
9.最初は強火(土鍋の場合は弱火から徐々に)で、
  沸騰したら弱火にし、40分煮込む。
10.煮込んでいる間は焦がさないよう気をつけながら、
  ていねいにアク取りを。
11.40分経ったら火を止めて、
  スライスをザルなどに引き上げる。
12.茶こしなどで漉しながら、
  シロップを煮沸消毒しておいたビンに移す。
  ここで、シロップは完成。
13.鍋に残ったしょうがのスライスをザルに並べる。
14.できれば天日にあてて、スライスを干す。
15.表面がしっとりしたら、鍋に移し、
  グラニュー糖をまぶして、
  しょうがスライスのできあがり!
16.シロップもスライスも、保存は冷蔵庫で。
  なるべく早めにお召し上がりください。



2010-02-10-THU



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