岡本太郎という芸術家は、
日本の各世代の、いろんな職業の人びとの心に
いろんなものを残しているようです。
あちこちで息づく太郎の遺伝子を、
このコーナーで、ご紹介してきました。
最後に登場する遺伝子は、ジミー大西さんです。

ジミー大西さんプロフィール




「ひと目みて心を奪われる」といわれる、
色彩あふれる絵を描くジミー大西さんは、
数年前までは「お笑い」のタレントさんでした。
2002年12月より日本全国を巡回している展覧会に
足を運んだ人の数は
いまや、ゆうに30万人を超えるといいます。
ジミー大西さんが
タレントから画家に転向したきっかけには、
晩年のTAROがかかわっていたとか。
darlingがお話をうかがいましたよ。


第10回
邪魔が生み出すエネルギー。


糸井 これから、岡本太郎との縁って、
どうなっていくんでしょうね。
大西 僕は、やっぱり
「キャンバスからはみ出せ」ていう
ひとつの言葉を、
まだまだ追及してくだろうと思います。
そしていつか、
太郎先生の「気持ち悪さ」というか
太郎先生の「爆発」に
もしも到達することがあったなら、
自分はいったい
どんな精神力でいられるんだろう、

って思います。
ま、ゴッホが耳ちぎったりするんじゃないけども、
そういうとこまで突き進んだ自分って
どんなんやろ?って思うんです。
糸井 ああ、そうだね。行ってみたいよね。
大西 ええ、どんなんなんやろ。
でも、ゴッホが耳ちぎってしまうっていうの、
わかるような気がするときも
たまにはあるんですよ。
耳切って「イッター(痛)!」って
なってるときに、
グワーッて、どんなデザインが描けるのか、
自分がどんなんになるのかなあと、
思たりもしますよね。
糸井 それにギリギリ近いとこまでは行ってるんだ。
大西 僕ですか?
いやいや(笑)、まだそこまでは。
糸井 近所までは
行ってるんじゃないすか?
大西 いやいや(笑)。
これからは、自分の精神的なものを、
おそらく追及しだすんでしょうね。
糸井 楽しみだね。だっていま、
まだ30代でしょう?
大西 もう40になりまして。
糸井 な、なった?
大西 はい、元旦が誕生日なんで。
糸井 あ、そう!
後半戦だね、じゃあ。
後半のほうが、自由になるらしいよ。
大西 そうなんですか。
糸井 マラソンでも、
往路と復路があるじゃない?
帰り道のほうが、飛ばせますよ。
大西 復路か‥‥。
子どものこととかも、考えたりするんですよ。
好きっちゃ好きやし、
子ども欲しいなぁ、とは思うんですけども、
でも、子どもを気にしたときに
自分が「はみ出せ」るのかな?って
思うんです。
糸井 そんなの、考えないほうがいいかもしれないよ。
自分を「手入れ」したらいい。
そしたら「子ども」っていう大水が来ても、
大丈夫ですよ。
大西 そうですかね?
糸井 お父ちゃんとしての仕事もいいよ。
やけっぱちじゃないほうが、力がある。
大西 そうですね、たしかに。
糸井 真剣に何かをやりたいときに
子どもがいるからこんなことはできない、
ということがあるでしょう。
でも、その「邪魔」があるくらいのほうが
エネルギーって出るんですよね。
大西 なんか邪魔があるから、できる。
糸井 受験生でも、
お母さんが「紅茶が入ったわよ」なんて、
いちいち持ってきてくれると、
大学に落っこちるんですよ。
かまってもらえないで、
「チッ、自分でお茶入れなきゃ」
っていうほうが受かるんですよ。
大西 それは、確かにわかるような気がする。
邪魔があるときほど、
机に座ってられるかもわかんないです。

糸井 うん、そうだよ、きっと。
岡本太郎がいつもそこにいるから
大きな邪魔があっても大丈夫だよ。
ああ、いいなぁ。
もう岡本太郎みたいな人に会うということは
そんなに、ないですかね?
大西 そうですね。
先生はいつも、そこにいるから‥‥。
万博の最後、いろんなパビリオンや建造物は
解体されて、跡形もなくなりましたよね。
「太陽の塔」もほんまは、
つぶしたかった思うんですよ。
でも、つぶすのにコストがかかるから、
そのまま置いたらしいんですけども。
糸井 あれはつぶせないんですよ、やっぱり。
魔力があるんだよ、たぶん。
大西 ねぇ!
糸井 理由なんか、いっくらでもつけられるけど、
つぶしたくないんだよ、あれ、みんな。
大西 つぶしたくないんでしょうね。
糸井 うん。たたりがあるからね(笑)。
大西 ハハハ。

★「TARO遺伝子。」おわりです。
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ありがとうございました。


2004-03-05-FRI

いままでの遺伝子。
<ジミー大西さん篇>
2004-02-03 第1回
キャンバスを、はみ出せ。
2004-02-06 第2回
とりあえず、宇宙人やろうな、あの人は。
2004-02-10 第3回
テレビ出てくるなり「爆発だ!」言うてるぞ。
2004-02-13 第4回
テストの40分間ですら、じっとできなかった。
2004-02-17 第5回
会えないことが、運命だった。
2004-02-20 第6回
いつもいっしょにいた、紫の絵の具。
2004-02-24 第7回
デッサン。そして、空気をつくること。
2004-02-27 第8回
自分自身に手入れをする人。
2004-03-02 第9回
自分と呼び合う絵。
<ゆーないとさん篇>
2004-01-27 第1回
スゲッ! 原色の代表選手を唱えてるよ。
2004-01-30 第2回
コソコソ! TAROとツーショット。
<タナカカツキさん篇>
2004-01-09 第1回
死ぬほどびっくりすることだらけです。
2004-01-13 第2回
ウソがつけなくなってしまう!
2004-01-16 第3回
美に出会ったら、お手上げです。
2004-01-20 第4回
TAROはなぜ、もてたのか。
2004-01-23 第5回
クリスマスよりTAROがおもしろい!
<田島貴男さん篇>
2003-12-09 第1回
決めフレーズの連続に、やられたぁ!!
2003-12-12 第2回
ノーガードに、なれるかい?
2003-12-16 第3回
もったいないぞ、落ち込まないと。
2003-12-19 第4回
わ〜、敏子さんだ!
2003-12-23 第5回
自分を誤解で飾ること。できるか、俺?
2003-12-26 第6回
いつになったら、まともなものを書けるんだ?
2004-01-06 第7回
権威をなしにした、歌のすばらしさをやりきれたら。
<みうらじゅんさん篇>
2003-10-29 第1回 岡本さんって、怪獣が好きなんだねぇ。
2003-11-05 第2回
「とんまつり」は先に岡本さんがやってんだよ。
2003-11-12 第3回
岡本さんはビビッビビッと、発信してる。
2003-11-19 第4回
B級な! B級なフェロモンが出てる!!
2003-11-26 第5回
ツッコミは、聞かんでよろしい!
2003-12-03 第6回
みんな、はじめは岡本太郎さんですよ。
2003-12-05 第7回
かわいいね、みんな、かわいい。

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