オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
山田一浪くん(仮名)の告白。 純真だった。素朴だった。ぼくは子供だった。 そんなぼくは、オトナの社会に触れるようになって驚いた。 言葉が、言葉がわからないのだ! オトナたちが何をしゃべっているのかが、わからない! ときどき、ふっと意識が遠のいてしまうのだ。 「スケジュールを切っといてね」って・・・・。 スケジュールって、切るものだったのか? オファーかける?スタンスが見える?ケイタイに振る? そして、ぼくはスポーツもしてないのに、 「選手」と呼ばれたりしている。 いままで知っていた日本語と、 どうやらちがう「オトナ語」を、オトナは使っている? もっと知りたい。知ってオトナになってみたい。 逆に、読者のみなさんからも、 ご自分のエリアから拾ったオトナ語の例などを、 アグレッシブにエントリーしていただいてゴーしたいなと。 ・・・ああ、うまく使えてません、ぼく。 |
最終回 『オトナ語の謎。』は、どうだったんだっけ? とうとう書籍が発売されるという本日に、 それこそ最初の最初から経過を目撃してきた僕が ぼんやりと感じることがあるとすれば、 よくもまあ、こんなふうになったものだなあ、 という、ちょっと途方もないような思いです。 発端はdarlingこと糸井重里が 乗組員に向けて書いた1通のメールでした。 調べてみるとそれは2003年6月6日の朝のことで (あ、ちょうど創刊5周年の日だ!) 午前5時37分に発信されています。 そのメールをここにそのまま貼りつけてみましょう。 そこには、こんな一文があったのです。
たったこれだけです。これがすべての始まりです。 すごく単純に考えれば、この一文がなければ、 『オトナ語の謎。』という本は存在しなかったのです。 けれども、僕が意義を感じるのは、 むしろこれに反応した2番目のメールです。 なぜなら、6月6日の朝に書かれた最初のメールは、 こうやって流れが大きなうねりとなったあとから考えれば 発端として象徴的に映るけれども、 それは野球殿堂入りする記念のボールが ほかのボールと性質としては変わらないのと同じことで、 可能性としてほかのどんなものでも 同じように作用しうると思うからです。 2番目のメールはつぎのようなものでした。 それは、同じく6月6日の 午前10時25分に書かれています。
それに対する返事が糸井重里から 午後12時46分に書かれています。 1番目のメールよりも2番目のメール、 そして2番目のメールよりも3番目のメールに 僕は始まりの意義を感じます。
そのようにして、 『オトナ語の謎。』は始まりました。 4番目のメールからは、 このコーナーにあった雰囲気がすでに生まれています。 このあと、つぎつぎに仲間内を 飛び交ったメールを列挙すると、 つぎのようになります。
そんなふうにして、この日のうちに、 じつに54本ものメールが行き交いました。 仕事は大丈夫なのかと、自分の職場ながら ちょっと心配になるほどの盛り上がりぶりです。 さかのぼってみると、 この遊びに名前がつけられたのは意外に早く、 午後1時41分のことでした。 最初のメールが打たれてから8時間後、 糸井重里はつぎのようなメールを書いています。
ここにすでに「オトナ語」という言葉があります。 なんだかあっという間の出来事です。 このメールの7分後にしっかりと反応したのは、 デリバリー版の担当者でした。
そして、6月9日のデリバリー版に 「オトナ語」の募集が掲載され、 はじめて企画は具体的にスタートしました。 そこに寄せられた用語をもとに、 本編の『オトナ語の謎。』は 6月11日にスタートしました。 基本的には、ほぼ日刊イトイ新聞は、 企画を世に出すまえに何度も検討を重ねます。 いわばひとつの鍋をじっくり煮詰めながら、 調味料をたしたり、あくをすくったりします。 けれども、素材が飛び抜けているときには、 畑の野菜をもいでいきなりガブリと食うような 潔さも見せるのです。今回はまさにそんな感じでした。 連載を最初から読んでいる方ならご存じのように、 あとは熱気が倍々ゲームでふくらんでいきました。 いえ、予想どおりだったかというとまったく違います。 むしろ、まったくの読み違いだったということも ここで白状しておきます。 みなさんから寄せられた反応は、 予想をはるかに上回るものでした。 こりゃ楽しいからバーッとやろう、 いつ終わってもいいじゃん、 と思いながら進めてきた我々の背中に 読者のみなさんから予想外の風が吹き、 慌てふためきながらページを更新していきました。 びっくりしているうちに半年が過ぎ、 気がつくと今日、という感じです。 ひとつのメールに誰かが返事を書き、 反応が往復になって遊びが生まれました。 それに名前がつけられ、 遊びは企画という大きな遊びとなって ほかの人へ配られました。 ほかの人がそれをほかの人へ伝え、 驚くほど多くの人がこの遊びに参加してくださいました。 基本編には昼休みを中心にメールが殺到しました。 勢いのあるうちに違う遊びをしよう、と、 実践編を始めたところ、 創意工夫に満ちたさまざまな返答が届きました。 発展編では多くの人々が投稿作品にうなり、 ビジネスマンの頭が固いなんてうそっぱちだぜと 認識を新たにしました。 専門用語編に寄せられたさまざまな言葉は 純粋に知識として新鮮でした。 出版編では仮想宣伝会議に たくさんの人が出席してくださり、 遊びを意識しながらもマジメな意見を 寄せてくださいました。 投稿者の方の名前もずいぶん覚えました。 いますぐ、何人もの方の名前を ずらりと挙げることができます。 それは、公園で遊ぶうちに、 遊び仲間のあだ名を覚えるような 極めて自然な蓄積だったように思います。 そういうふうにして、 半年間続けてきた遊びの空気を ギュッと凝縮したのが、 本日発売となる『オトナ語の謎。』です。 そこに熱気のようなものが詰まっているのは 当然のことでしょう。 さて、 ジェットコースターのようにして 闇雲に走ってきましたが、 今日がいちおうの終着点です。 今後は書籍の情報などを 不定期にお伝えしていく予定ですが、 連載としてはいちおう今回が最終回となります。 参加してくださったみなさま、 読んでくださったみなさま、 ほんとうにどうもありがとうございました。 ほんとうのオトナどうしであれば 「おつかれー」ということで 飲みに行ったりするのでしょうが、 なにせ発売直前ということでばたばたしておりまして、 そうも言ってられません。 全国のオフィスでがんばる諸先輩方、 半年間、どうもありがとうございました。 担当は、永田ソフトこと永田泰大、 デザインとページ制作は、さいとうりか、 アシスタント担当は、通天閣あかりでした。 また遊びましょう。
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2003-12-05-FRI
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