オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
山田一浪くん(仮名)の告白。 純真だった。素朴だった。ぼくは子供だった。 そんなぼくは、オトナの社会に触れるようになって驚いた。 言葉が、言葉がわからないのだ! オトナたちが何をしゃべっているのかが、わからない! ときどき、ふっと意識が遠のいてしまうのだ。 「スケジュールを切っといてね」って・・・・。 スケジュールって、切るものだったのか? オファーかける?スタンスが見える?ケイタイに振る? そして、ぼくはスポーツもしてないのに、 「選手」と呼ばれたりしている。 いままで知っていた日本語と、 どうやらちがう「オトナ語」を、オトナは使っている? もっと知りたい。知ってオトナになってみたい。 逆に、読者のみなさんからも、 ご自分のエリアから拾ったオトナ語の例などを、 アグレッシブにエントリーしていただいてゴーしたいなと。 ・・・ああ、うまく使えてません、ぼく。 |
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第1回 オトナの基本用語:その1 ■■■ 「明日の午後イチを目標に、なるはやでお願いします」 ──そんなメールを受け取ったことはないだろうか? 「営業に投げるまえにブレストしておきましょう」 ──そんな提案を受けたことはないだろうか? 謎めいている。ああ、ひどく謎めいている。 上で山田一浪くん(仮名)もぼやいているとおり、 現実世界には、学校では教わらなかった言葉が さも当たり前のように行き交っている。 力を貸してやってはくれないだろうか? オフィスの片隅でおろおろと戸惑う、 全国の山田一浪くん(仮名)に 救いの手を差し伸べてあげてはくれないだろうか。 オフィス特有の言葉を。ビジネス専門の文体を。 メールに込められた真意を。上司の口癖の翻訳を。 全国のオフィスから「ほぼ日」をご覧のみなさん、 いまこそあなたの出番です。その蓄積を役立てるときです。 社会の謎フレーズを解き明かしていこうではありませんか。 なるはやで、紙に落とし込んでいこうではありませんか。 いったんペンディングしたものを、 仮にフィックスして、うしろの時間を見ながら、 アバウトに丸投げしていこうではありませんか。 ああ、ひどく謎めいている! なお、ここでいうオトナ語は、 ある特定の職場でのみ機能する ローカルな言葉を指すものではない。 そうではなくて、いつの間にか社会の常識のように 巧みに日常ビジネス会話に組み込まれているものを 紹介していきたいと考えている。 しかしながら、あんまり特殊でおもしろいものは 例外としてどんどん紹介していく。
第一回目の今回は、ひとあし先に募集を開始した デリバリー版に寄せられたメールから拾っていこう。
■「了承を得る。了解を取る。同意を得る」の意味。 なんでまたそんな難しい言葉を使うのか。 「 コンセンサスとっといて 」というその言い回しに 先方のコンセンサスをとっていただきたい。
■ふだんは、物事を逆説として言い換えるときに使う。 しかし、どう考えてもそれは「逆じゃない」というときも。 「逆にいうと○○です。逆にいうと××ですね」 ああ、純なオイラはちんぷんかんぶん。 オトナの「逆」はどっちなんだ。
■「どうなの、先生 ?」って言われても……。 上司が部下をなぜか「先生」呼ばわり。 不思議とその逆はない。 「最近どうよ」などとセットで使うと効果的。 謎の肩書きとしては「選手」もある。 「大西選手のネゴのおかげだねえ」とか。謎。
■頭に人称名詞などをつけて用いる。 その人の仕切り、その人の預かりで、という意味。 というか、意味の解説がすでにオトナ語な気も。 「じゃあ、その件は山口マターで」 「それはもう、長谷川マターにしちゃえよ」 なんだか半端なマジシャンのようです。 ちなみに「我が社」を意味する「うち」を 頭につけることもあり、そうなると「うちマター」に なってしまうのだけれど、どうしたもんか。
■数人で検討する、といった意味。 「こっちでちょっと もんでみます 」といっても、 マッサージ関係者にあらず。 「この数字、もんどいてね 」とか言われると、 なにがなんだかわかりませんよ。
■イッピ! それは「ついたち」のこと。 でもオトナは「イッピ」。「イッピづけ」。 地方都市の名物でも、友人のあだ名でもない。 『長靴下のイッピ』などという映画もない。
■社会人はとにかく投げるのだ! 「メールを投げる 」「先方に投げる」 「FAX投げる」「とりあえず投げる」 「投げる」の活用をおぼえてこそ、一人前! 「ピッチャーが球を投げる」というのは、わかる。 しかし、オトナ野球解説者などは、どういうわけか、 そういうふうには言わずに、 「ピッチャーが球を放る(ほうる)」と言う。
■船やヨットで帆を張る柱のこと、ではない。 非常に重要で外せないものごとを指す。 「この項目は マスト です!」。合ってるのか? じゃあ、ナニか? 船の話を続けて悪いけど、 「ヨットの件では帆がマストです」ってな やり取りもありえるのか? なんの話だ?
■動機のこと。上げたり下げたりするが、 重要なのは維持すること。ていうか動機じゃダメなのか。 モチベーションを維持しつつ、もんでおきます。 なにがなんやら。なぜかスポーツでも使うね。 モチのあたりに反応して、 なんだかうまそうだと思うのはコドモ。
■二番目、二度目にとる手段のこと。 「この企画、コケたときのために二の矢を準備しといて」 あるいは「二の矢、三の矢と続けます」なんてことも。 社会人はヨコモジが好きだが、同様に、 兵法めいた言葉も大好きなのだ。 きっと三国志とか読んでるのだ。 「外堀を埋める」とか、ふつうに使うのだ。 なぜかは知らんよ。歴史もの好きの社長に聞きたまえ。 「三顧の礼で迎える」なんか、ちょっとかっこいいけど、 使う機会がない。
■なぜ「人」じゃダメなんだ。 なぜ「人事のにんげん」なんだ。 なぜ「営業のにんげん」なんだ。 なぜ「人」じゃダメなんだ。 なぜ「外部のにんげん」なんだ。 なぜ「会社のにんげんに聞いておきます」なんだ。
■社会人はイメージが大好きなのさ。 「こんなイメージでお願いします」 「夏が来たというイメージで行きます」 「まあ、そんなようなイメージですわ」 こりゃまた便利な言葉だね。
■社会人は「〜感」が大好きなのさ。 「これからキそう感を前面に出してですね」 「受けねらい感」「さわやか感」「すすんでる感」 「グローバル感」「老舗感」「余裕でやってる感」 「なつかしい感」「新しい感」「今までになかった感」 「子どものころに出会った感」……知らんわ、そんな感。
■ていうか、これは「優先順位」でいいだろう! 「あとはプライオリティの問題ですよ」 とか言われても、なんの問題なんだかわからんよ。
■「流れを見つつ、臨機応変に行きましょう」とか。 まあ、よくわからんけど、なんとなく、傍観して、 ここだと思ったときにそうしましょうや、くらいの意味。 わりと「つつ」は、頻発するなぁ。
■「そのまま行っちゃう手も、なくはないですね」 あるのかないのかどっちなんだ。 「なくはないですね!」とか語尾を強められても困る。
■メールにつまったら、「そのあたり、」を。 話がうまくまとまらなかったら「そのあたり、」を。 そのあたり、よろしくお願いします。どのあたりよ?
■アズ・スーン・アズ・ポッシブル! 可能な限り早く、という意味だって! 来日中のアカペラグループかと思ったよ。 そんな感じでどんどん募集していきたい。 特殊な略語などへ飛躍するまえに、 まずは基本用語を網羅していきたいと思いますので。
全国のオフィスから、知識のおすそわけ、 お待ちしておりますよー。
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2003-06-10-TUE
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