小林 |
「七夕も過ぎたな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「短冊に願い事を書いたか」
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北小岩 |
「もちろんでございます」
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小林 |
「何を書いたんや」
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北小岩 |
「『おちんちんが一本では
足りなくなるぐらい
忙しくなりますように』と」
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小林 |
「大多数の男が願うことやな。
それで効果はあったんか」
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北小岩 |
「実は七夕の前夜に
突風が吹きまして。
庭の笹に結んであった短冊が
飛んでしまったのです」
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小林 |
「ほほう」
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北小岩 |
「探しにいったのですが、
道路の向こう側に
巨大な犬の糞があり、
その下敷きになっておりました」
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小林 |
「ウンの尽きやな」
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短冊が糞の下敷きにならなくとも、
弟子の願いはかなえられなかったであろう。
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小林 |
「ところで最近、
町の男たちのちんちんが
浮足立っとるのを知っとるか」
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北小岩 |
「それは一大事でございます。
詳しくお聞かせください」
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小林 |
「俺もよくわからん」
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北小岩 |
「すぐに
情報収集せねばなりませんね」
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二人はそれぞれ蟻を一匹ずつ捕まえ、
己の蟻の門渡りの匂いを嗅がせるという
まったく意味のないことをして公園に急いだ。
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小林 |
「男たちが集まっとるが、
元気がないようやな」
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北小岩 |
「お話をうかがってみます。
お忙しいところ
申し訳ございません。
おちんちんが浮足立っていると
聞いておりますが、
どういうことですか」
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男A |
「俺の家ではよく
ウインナーを食べるんだよ」
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北小岩 |
「はい。
おいしいでございますね」
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男A |
「ところが夜中に、
ウインナーが勃つ練習を
しているのを見たんだよ」
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北小岩 |
「どういうことでしょうか」
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男A |
「ウインナーが
俺のちんちんのポジションを
狙っているらしいんだよ」
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北小岩 |
「ええ〜〜〜!!
ではあなた様は?」
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男B |
「俺の家ではよく
フランクフルトを食べるんだよ」
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北小岩 |
「もしや!」
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男B |
「夜中に
フランクフルトが
勃つ練習してるんだよ」
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北小岩 |
「それはあなた様の
おちんちんのポジションを
狙っているに違いございません!」
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疑問は氷解した。
ウインナーやフランクフルトが
勃つ技術を習得すれば、
当然ちんちんを追い払い、
自分たちがちんちんになろうとすることは
目に見えている。
今までは大したことのないちんちんでも
替えがないため安穏としていられたが、
これからはその地位を奪われるかもしれない。
ちんちんも過酷な競争の時代に
突入したようである。 |